林業トピックス: エリート樹木で花粉を減らす

雑誌オルタナ74号(2023年9月28日発行)の「林業トピックス」を紹介します。

■エリート樹木で花粉を減らす

日本製紙はスギやヒノキのエリートツリーなどの苗木生産事業を拡大するため、秋田県で「特定増殖事業者」の認定を取得した。スギ種苗配布区域は国内7区域あるが、同社は秋田県含めて5つの区域で認定を取得した。

日本製紙はエリートツリーの苗木生産1千万本を目指す

エリートツリーとは、成長性や材質などにも優れている樹木の総称だ。林野庁の定義では、成長が通常種より1.5倍、花粉排出量が半分以下のものを指す。

同社の九州地区のエリートツリーは花粉排出量が従来のものに比べて1%以下だった。成長も早く、短期間でCO₂を吸収することができる。

同社では2030年までに1000万本の生産体制構築を目指す。すでに認定を取得したエリアでの増産を図っていくとともに、新規エリアでの認定取得も準備していく。


■木造ビルでコスト減と脱炭素に寄与


■農工大などが森林再生で協定

東京農工大学は、ジャパン・インベストメントアドバイザー(JIA)、島根県浜田市とユーカリなどの早生樹を活用した森林再生の取り組みについて、協定を締結した。

同大学とJIAは2021年11月から早生樹を活用した、新しい林業創生技術の開発に取り組んできた。戦後に拡大造林されたスギやヒノキ人工林の主伐期を迎える中で、伐採後の再造林が課題だった。

これまでの研究結果をベースに、早生樹の植栽適地、保育管理方法などの研究を進めるため、浜田市で実証研究を行う。循環林業の展開や、持続可能な林業経営の推進を目指す。


■森林ファンドを600億円で組成

住友林業グループの米AM会社が森林ファンドを組成、運用を開始した。

ファンドには、ENEOS、大阪ガス、東京センチュリー、日本郵政、日本郵船、芙蓉総合リース、三井住友銀行、三井住友信託銀行、ユニ・チャーム、住友林業グループの10社が参画した。資産規模は600億円、運用期間は15年を計画する。

COP26で採択された「グラスゴー気候合意」は、CO₂吸収源や炭素の貯蔵庫として森林の重要性を明記した。ファンド運用を通じて、適切な森林管理から生み出されるCO₂吸収量を森林由来のカーボンクレジットとして発行、還元していく。

具体的には、27年までに北米を中心に約13万haの森林を購入・管理する。森林経営はノウハウを持つ米AM会社が担当する。クレジット創出の方法としては、CO₂吸収や炭素固定のほか、IFM(森林改善による方法論)による創出も検討する。

今後、東南アジアやオセアニアなどで検討し、30年に運用規模1000億円を目指す。同社の内田栄一氏は「国内の森林ファンドの可能性についても検討する」とした。

萩原哲郎

萩原 哲郎(オルタナ編集部)

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #林業

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