気候変動の影響などを受けた記録的不作によるカカオ豆の国際価格高騰「カカオショック」の影響は現在も続く。国際ココア機関によると2024年12月のカカオの平均価格は1kg当たり10.35ドルと2年前の4倍以上にのぼる。
日経POSによると25年1月のチョコレートの平均価格は289円と2年で2割上昇した。25年にも国内大手チョコメーカーは最大約30%のチョコレート関連品の値上げを発表した。
明治は値上げだけでは対応しきれないとして、一部製品のカカオ成分を代替の植物油脂系に切り替えた。製品規格が「チョコレート」から「準チョコレート」に変わる大きな選択だ。
生活者にとって菓子の価格上昇は家計を圧迫する。一方筆者が大手商社のカカオ担当者と話す中では、「これまで日本はチョコレート価格が世界的に見て安すぎた。今回の危機は皮肉にも価格を(本来の水準へ)引き上げる機会になったこともある。価格を上げないとカカオ産業は持続可能ではない」という意見もあった。持続可能な生産に向けて、価格に向き合わなければならない時が来た。