ブラックロックCEO、年次書簡で「投資の民主化」掲げる

記事のポイント


  1. 米ブラックロックのラリー・フィンクCEOは、2025年の年次書簡を公開した
  2. この年次書簡は同社の投資先企業の経営者に毎年送付している
  3. 今年の年次書簡では「投資の民主化」を通して資本市場の再構築を訴えた

世界最大の資産運用会社ブラックロックのラリー・フィンクCEOはこのほど、2025年の年次書簡を公開した。この年次書簡は「フィンクレター」と呼ばれるもので、同社の投資先企業の経営者に毎年送付している。今年の書簡では、かつてないほど経済が混乱しているとし、「投資の民主化」を通して資本市場の再構築を訴えた。(オルタナ輪番編集長=池田 真隆)

フィンクCEOは投資先企業の経営者宛に、毎年年次書簡を出している。株主総会を前に、その年の重要課題などを伝えてきた。

2024年は「エネルギーの安全保障」、23年は「分断と対立」、22年は「パーパス」を強調した。

今年の書簡では、特定の課題よりも資本主義そのものの再構築を訴えた。

書簡では、現在の投資家は、人類史上における最高の資産形成の時代の恩恵を受けているとした。

過去40年の世界の国内総生産(GDP)の伸び率はそれ以前の過去2000年の合計を上回っていたという。

だが、投資によるリターンを受けていたのは一部として、より多くの人への富の再分配が必要だとした。

2025年の年次書簡は1万文字を超えるが、「トランプ政権」については、名指しで言及していない。ただし、「貧富の格差が深刻化し、保護主義が復活し力を持ってきた」と批判した。

プライベート市場への投資促す

フィンクCEOは、一部の富裕層に恩恵がもたらされている今の資本主義を再構築するために「投資の民主化」が欠かせないと言い切った。投資の民主化を実現するには、非上場企業に対する投資を指す「プライベート市場」に投資できる個人投資家を増やすことが重要だとした。

これまでは1月上旬に送付していたが、反ESGの圧力の高まりを受け、2023年からは3月下旬ごろと発行時期が大幅に遅れるようになった。

M.Ikeda

池田 真隆 (オルタナ輪番編集長)

株式会社オルタナ取締役、オルタナ輪番編集長 1989年東京都生まれ。立教大学文学部卒業。 環境省「中小企業の環境経営のあり方検討会」委員、農林水産省「2027年国際園芸博覧会政府出展検討会」委員、「エコアクション21」オブザイヤー審査員、社会福祉HERO’S TOKYO 最終審査員、Jリーグ「シャレン!」審査委員など。

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キーワード: #サステナビリティ

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