首都圏主要駅の150カ所にシェア日傘、猛暑対策も廃棄物削減も

記事のポイント


  1. アイカサが山手線など首都圏の主要駅150カ所にシェア日傘を導入する
  2. 近年、歴史的な猛暑に見舞われており熱中症死者数は1000人超に
  3. シェア日傘の普及で猛暑への適応と廃棄物削減を両立する

傘のシェアリングサービス「アイカサ」が山手線など首都圏の主要駅150カ所にシェア日傘を導入するプロジェクトを始めた。気候変動が進むなかで歴史的な猛暑がつづいており、年間の熱中症死者数は1000人超にのぼる。シェア日傘の普及を図ることで気候変動の適応をサポートするとともに、シェアリングによる廃棄物削減も推進する。(オルタナ編集部=萩原 哲郎)

会見には丸川社長(前列右から2人目)のほか、小池百合子・東京都知事(前列中央)などが登壇した

プロジェクトの名称は「COOL MOVE TOKYO」。TISや鉄道事業者などで構成するイノベーションクラスター「TRIP」と連携することで、取り組みが実現した。

導入するのはJR東日本のほかに、小田急、京王、京急、西武、東急、東京メトロ、東武、都営交通の9鉄道事業者の駅。山手線全駅をはじめとして、64駅150カ所に展開する。3000本の傘を設置するので、単純計算で1カ所20本程度となる。

展開する日傘は晴雨兼用折りたたみ傘の「アイカサmini」。紫外線遮蔽率・遮光率がいずれも99.9%以上で、強い日差しや紫外線を防ぐ。使用料金は24時間140円のほかに、月額280円のプランも用意する。

「アイカサ」を運営するNature Innovaition Groupの丸川照司社長は「熱中症によって亡くなる人は平成30年以降、令和3年を除いて年間1000人を超えている」と訴える。WMO(世界気象機関)は2030年までに最高気温を更新するという報告書を出しており、熱中症による健康被害が年々増えていくことが予想される。

丸川氏は今回の取り組みを気候変動による暑さへの適応策と位置づける。気候変動適応情報プラットフォームが平成30年に行った日傘無料貸出イベントで暑さ指数(WBGT)を測定すると、日なたで傘を差さない人と差している人で1~3度の低減効果があったという。アイカサを通じて気軽に日傘を使用できる環境をつくることで熱中症対策を推進する。

まずは首都圏を中心に展開したうえで、将来的に全国での導入も目指す。26年には首都圏・関西圏で1500カ所以上を目標に掲げた。

設置する駅は次の通り。

●西武鉄道: 西武新宿・高田馬場・池袋
●小田急電鉄: 新宿・南新宿・参宮橋・代々木八幡・代々木上原・東北沢・下北沢
●JR東日本(山手線): 東京・神田・秋葉原・御徒町・上野・鶯谷・日暮里・西日暮里・田端・駒込・巣鴨・大塚・池袋・目白・高田馬場・新大久保・新宿・代々木・原宿・渋谷・恵比寿・目黒・五反田・大崎・品川・高輪ゲートウェイ・田町・浜松町・新橋・有楽町
●京浜急行電鉄: 京急蒲田・逗子・葉山・汐入・横須賀中央・三浦海岸・三崎口
●東武鉄道: 浅草・池袋
●東急電鉄: 祐天寺・都立大学・自由が丘
●京王電鉄: 渋谷・神泉・駒場東大前・池ノ上・下北沢・新宿
●都営地下鉄: 新宿・新宿三丁目・曙橋・市ヶ谷
●東京メトロ: 後楽園・新木場・渋谷

2014年から不動産業界専門新聞の記者職に従事。2022年オルタナ編集部に。

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キーワード: #気候変動

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