アイルランドも石炭火力発電を廃止、英・フィンランドに続く

記事のポイント


  1. アイルランドは25年6月に石炭火力による発電を廃止した
  2. 24年の英国、25年4月のフィンランドなど、欧州で石炭火力の廃止が相次ぐ
  3. 欧州では石炭火力に頼らない国が15ヵ国となった

アイルランドは2025年6月に石炭火力による発電を廃止した。欧州では、2024年9月の英国、2025年4月のフィンランドなど、石炭火力からの脱却が相次ぐ。アイルランドの脱石炭により、欧州では、石炭火力に頼らない国が15ヵ国となった。(オルタナ輪番編集長=北村佳代子)

アイルランドのマネーポイント発電所

アイルランドは6月20日、1980年代半ばから操業を開始したマネーポイント火力発電所において、石炭の使用を終了し、石炭火力からの脱却を完了した。現地メディアのアイリッシュ・タイムズによると、当初予定より6か月前倒しでの、石炭からの脱却となった。

「これはアイルランドにおける石炭の終焉であり、よりクリーンなエネルギーの未来の始まりだ」と、国営電力会社ESBのパディ・ヘイズCEOは声明を出した。

欧州では、石炭火力からの脱却した国はこれで6カ国目となり、石炭火力に頼らない国が15ヵ国に上った。

(参考記事)英国、石炭火力発電から離脱へ: 産業革命から250年ぶり
(参考記事)欧州で相次ぎ石炭廃止へ、英国に続きフィンランドなど

■風力発電の拡大が「脱石炭」に導く

アイルランドの電力構成は2024年時点で、ガスが42.1%、再エネルギーが39.6%を占めた。石炭については、2025年5月時点で4.6%を占めた。

アイルランドの石炭火力からの脱却は、特に風力発電の急成長によって実現した。

ESBはマネーポイント発電所を「グリーンエネルギーハブ」へと転換する計画だ。2017年には同施設内に陸上風力発電所の建設を開始し、化石燃料からの移行を進めてきた。ほかにも風力タービン建設拠点や、グリーン水素施設を同発電所内に設ける。

なお、マネーポイント発電所は2029年まで、重油を使ってバックアップ用の発電を続ける予定だという。

■スペインやイタリア本土も脱石炭へ

ドイツに拠点を置くNPO法人のビヨンド・フォッシル・フュールは、スペインとイタリア本土も、アイルランドに続いて数か月以内に脱石炭を果たすと見込む。

イタリアでは、今夏に、イタリア本土に残る最後の石炭火力発電所2基の閉鎖を予定している。一方、サルデーニャ島には2基の石炭火力発電所があり、これら発電所は、イタリア本土との海底送電線が完成するまで運転を継続する見込みだという。 スペインも、今年中には、現在残っている石炭火力発電所を閉鎖するか、もしくはガス火力発電所への転換を図る予定だという。

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

北村(宮子)佳代子(オルタナ輪番編集長)

オルタナ輪番編集長。アヴニール・ワークス株式会社代表取締役。伊藤忠商事、IIJ、ソニー、ソニーフィナンシャルで、主としてIR・広報を経験後、独立。上場企業のアニュアルレポートや統合報告書などで数多くのトップインタビューを執筆。英国CMI認定サステナビリティ(CSR)プラクティショナー。2023年からオルタナ編集部、2024年1月からオルタナ副編集長。

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キーワード: #脱炭素

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