女性の高学歴化は少子化の原因か?影響は「限定的」と早大研究チーム

記事のポイント


  1. 早稲田大学などの研究チームは、教育が女性の家族形成に与える影響を検証した
  2. 高学歴化は結婚や出産の時期をわずかに遅らせるが、影響は限定的かつ一時的だった
  3. 少子化は女性の高学歴化ではなく、社会制度のあり方に大きく左右されると示した

早稲田大学などの研究チームは、女性の教育水準の向上が結婚や出産に与える影響を検証した。それによると、教育水準の向上は家族形成の時期をわずかに遅らせるものの、その影響は限定的かつ一時的であり、最終的な結婚・出産状況に大きな差はないことが明らかになった。この結果は、少子化が女性の高学歴化に起因するのではなく、社会制度のあり方に大きく左右される可能性を示唆している。(オルタナ編集部・川原莉奈)

若年期には結婚や出産の「遅れ」として現れるが、40代半ばには差がほとんどなくなる

少子化の背景として、女性の高学歴化や社会進出が結婚や出産の減少を招いているとの見方は長く指摘されてきた。しかし、こうした議論は相関関係にとどまり、因果関係は十分に検証されてこなかった。

こうした中、早稲田大学などの研究チームは、1966年の「丙午(ひのえうま)」に伴う出生減に着目した。丙午の迷信により出生数が大きく減少した結果、同学年の人口が少なくなり、進学競争が緩和された。この特殊な状況を利用し、教育機会のみが変化した集団を分析することで、教育の影響を抽出した。

約180万人のデータを用いた分析の結果、教育水準が高い女性は、初婚が平均約2週間、初産が約40日遅れる傾向がみられた。ただし、この遅れは年齢とともに縮小し、40代半ばまでには結婚している割合や子どもと同居する割合は他の女性とほぼ同水準に収束した。

さらに、高学歴女性は結婚時の就業率が高く、経済的に自立した状態で家族形成に至る傾向も確認された。一方で、同棲や夫婦同姓といった結婚慣行には大きな変化は見られなかった。

これらの結果から、女性の教育水準の向上は家族形成のタイミングに限定的な影響を与えるにとどまり、最終的な結婚や出生の有無には大きく影響しないことが示された。

研究チームは、少子化の要因を教育に求めるのではなく、働き方や育児支援、ジェンダー不平等といった制度面の課題に目を向ける必要があると指摘している。

kawahara

川原莉奈 (オルタナ編集部)

早稲田大学理工学部卒業後、大手自動車関連メーカーで7年間勤務。その後、「全く異なる世界を見てみたい」との思いからフリーランスに転身。ファッション・ライフスタイル系のWebメディアでデスク、エディター、ライターを務める。2023年からは、並行してNPO法人にてWebデザインや広報を担当し、社会課題への関心を深める。ライターとしてのモットーは「複雑なテーマを整理し、シンプルに伝えること」。

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キーワード: #ジェンダー/DE&I

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