ウナギの値下がりを喜んで良いのか: 「豊漁」ではなく「乱獲」だ

記事のポイント


  1. ウナギの蒲焼が100グラム1449円と、小売価格の低下傾向が続く
  2. この理由を、漁獲量が増えた「豊漁」だと捉えるのは早計だ
  3. 資源保護のための自主的な上限も守られず、ウナギ資源の未来は危うい

ウナギの蒲焼の価格が低下している。しかしこれを「豊漁」と捉えるのは誤りだ。25年の日本のシラスウナギの漁獲量は、2000年代に比べても「豊漁」とは言い難い水準だ。また日中韓台で資源保護を目的に合意したはずの「自主的」な池入れ量の上限設定を、中国は大幅に超過して漁獲したとされる。適切な資源管理がなされないまま、ウナギを大量消費すれば、ただでも危ういウナギ資源の未来はさらに危うくなる。(オルタナ論説委員=井田徹治)

100グラム1449円と小売価格の低下が続く、うなぎの蒲焼

昨年から今年初めにかけての漁期は、ウナギの稚魚のシラスウナギが「豊漁」だったため、蒲焼の価格が安くなっている。中国産の輸入ウナギの価格が2~3割値下がりし、国産ウナギにも価格低下の傾向が見られる。メディアは「今年の土用の丑の日は安いウナギが食べられそうだ」とのお気楽な報道を続けている。

確かに今漁期のシラスウナギの漁獲量は過去数年に比べて多かった。だが、漁獲量が増えたといっても最盛期に比べればその量は大幅に少なく、これを豊漁と呼ぶのは誤りだ。

適切な資源管理が行われずに、シラスウナギの大量消費が続いており、ウナギの危機は遠のくどころかさらに深まったといえる。天然資源にほぼ100%を依存するウナギ食にとっても今年の値下がりと消費の増加は、喜ぶべきこととは言えない。

■日本のシラスウナギ漁獲量は「豊漁」と言えない

水産庁などによると2025年漁期の日本のシラスウナギの漁獲量は18トンだった。2024年の7.1トン、23年の5.7トンに比べればかなりの増加ではある。といっても2000年~2009年の10年間には漁獲量が20トンを超えることは多かった、2006年の漁獲量は27.5トンもあった。1960年代には100~200トンは捕れていたのだから、18トンを「豊漁」と呼ぶことはできないだろう。

日本の養殖池に入れられたシラスウナギの量は18.3トンだった。ここ数年は6~10トン前後だったのでかなりの増加ではあるが、2017年や2020年とそれほど変わらないとも言える。

(この続きは)
■「強制力のない上限」の合意は意味をなさない

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ida_tetsuji

井田 徹治(共同通信社編集委員兼論説委員/オルタナ論説委員)

記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

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キーワード: #生物多様性

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