セレクトショップ大手のアーバンリサーチは、地元大阪のNPOなどと協働し、2018年11月に新ブランド「commpost」(コンポスト)の販売を開始した。同社はこれまでも羽毛製品を回収しリサイクルされた羽毛を使った商品などを展開してきた。SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、プロジェクトチームを立ち上げるなどサステナブルな商品開発をさらに進めていく。(湯川 真理子)

「SDGsを意識し始めたのは2018年夏ごろですが、それまでもサステナブルな商品開発には力を入れていました」。アーバンリサーチの萩原直樹執行役員は、こう話す。例えば、同社は東日本大震災発生後、被災地農家とアパレル企業が協働し復興を目指す「東北コットンプロジェクト」に協力。津波による塩害に侵された畑で綿を栽培し、製品化する取り組みだ。
また、羽毛製品を店頭で回収し、再生羽毛として生まれ変わらせ、商品化する「グリーンダウンプロジェクト」もその一つだ。DOORSの店舗から始まり、今では全社的な取り組みに拡大している。その結果、使用済み羽毛の店頭回収量、回収した羽毛の商品使用とも国内最大という。
■ SDGs推進で社内連携

SDGsへの取り組みをさらに発展させるため、2018年11月にはプロジェクトチーム「SDR」(Sustainable Development Research)を発足した。メンバーは、企画、バイヤー、商品、販売、人事など部門横断的に集められた。
毎週開かれるミーティングで課題を持ち寄り、それぞれ独自に調査し、課題を解決していく体制だ。サステナブルな新ブランド「commpost」の第一弾「マルチパーポスバッグ」は、デッドストックの問題がきっかけで生まれた。

BAG(マルチパーポスバッグ)」
従来は廃棄業者に委託して処理をしていた衣類を加工し、多用途に使えるバッグにアップサイクルした。異なる色や素材の分別は容易ではないが、素材、色を分けることで、風合いを残しつつも全く新しい商品として生まれ変わった。
縫製などを大阪・箕面のNPO法人「暮らしづくりネットワーク北芝」に依頼し、障がい者をはじめとする就労困難者の新しい雇用にもつながっているという。
「作る側、売る側が一体となり、店舗スタッフが目立つように配置したり、工夫してくれたりして、現在、在庫が足りない状況なのです」と萩原執行役員はうれしそうだ。こうした取り組みは、社員のやりがいにもなっている。