トヨタ社員の自殺労災認定、パワハラ新基準が浸透へ

トヨタ自動車の男性社員(当時40)がうつ病を発症し、2010年に自殺したのはパワハラや過重労働が原因として、このほど名古屋高裁が労災を認めた。今回の労災認定は企業にどのような影響を与えるのか、「人を大切にする経営」を提唱する社労士の小林秀司氏(CSR検定3級テキスト著者)に寄稿してもらった。

トヨタ自動車の社員がうつ病で自殺したのはパワハラや過重労働が原因だったと労災を認める判決を名古屋高等裁判所が下しました。本件は、豊田労働基準監督署、そして名古屋地方裁判所がパワハラではないと判断した事案を高裁がひっくり返す逆転判決でした。国が上告しなかったために10月1日にこの判決が確定しました。

労災認定項目として新設されたパワハラ

2020年に改正パワハラ防止法(労働施策総合推進法)が施行され、これに伴い厚生労働省は労災の認定基準として「パワハラ」の項目を新設しました。

「必要以上に長時間の激しい叱責(しっせき)」や「他の労働者の面前での大声かつ威圧的な叱責」などは、「社会通念で許される範囲を超える精神的攻撃」とし、労災の認定ラインと明示しました。

高裁は、この新基準に沿って、トヨタ社員の案件をパワハラによる労災と認定したのです。

厚生労働省では、2020年、「今後は、この基準に基づいて審査の迅速化を図り、業務により精神障害を発病された方に対して、一層迅速・適正な労災補償を行っていきます」と通知しましたが、これを有言実行した形です。この新基準は今後、企業の労務管理に大きな影響を与えることが必至です。

パワハラ対策を考えるうえで留意すべきこと

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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