記事のポイント
- NTT、KDDI、ソフトバンクはESGに関するデータ収集の効率化を図る
- サプライヤー向けのアンケート質問を共同で作成し、標準化を目指す
- これまで各社は100~200問のアンケート質問を独自に作成していた
NTT、KDDI、ソフトバンクは共同してサステナビリティに関するデータ収集の効率化を図る。環境や人権などサプライヤー向けのサステナビリティに関するアンケート質問を共同で作成し、3社共通の質問として、サプライヤーエンゲージメントに生かす。これまで各社は100~200問を独自に作成していた。3社で質問を「標準化」したことでサプライヤーの負担を減らす。(オルタナS編集長=池田 真隆)

3社共同を呼びかけたのは、NTTだ。同社は2022年7月に電気通信事業者が共同でCSR監査を行う協会JAC(Joint Audit Co-Operation)に加盟した。JACへの加盟を機に、同年の夏ごろにKDDIに連携を持ち掛けた。
NTTもKDDIも、サプライヤーからデータが集まらないなど課題を持っていた。KDDIはNTTと連携することを決め、もともとつながりがあったソフトバンクに声を掛けた。
KDDIとソフトバンクは、両社のサステナビリティ担当者間で意見交換していたこともあり、関係性があった。こうして、2022年の夏ごろから3社共同での取り組みが動き出した。
これまで3社は電子機器、情報技術に関する業界団体「電子情報技術産業協会(JEITA)」などが発行したガイドラインを参考に、サステナビリティに関するサプライヤー向けのアンケート質問を独自に作成していた。3社とも質問数は100~200で、年に1回、サプライヤーに送っていた。
一方、サプライヤーは、各社から送られる「似て非なる質問」への対応に迫られ、負担が増していた。3社はアンケート質問を標準化したことで、サプライヤーの負担軽減を見込む。アンケート項目は、「環境」「人権・労働」「安全衛生」「公正取引・倫理」「品質・安全性」「情報セキュリティ」などで、質問数は約100問だ。すでに質問は作り終えており、早ければ8月ごろからサプライヤーに送り始める予定だ。
KDDIの山中厚子・購買統括部サステナブル調達企画グループリーダーは、「サステナビリティを経営の中核に置き、経営の強靱性や持続可能性を高めることを目的の一つとして連携を始めた」と話す。
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