「欧州企業と人権(4)苦情処理メカニズム」 ――下田屋毅の欧州CSR最前線(28)

指導原則に則った「苦情処理メカニズム」を導入するに当たっては、現状の仕組みとのギャップ分析、特に鍵となるのは、今まで含まれなかった社外のステークホルダーに対する「苦情処理メカニズム」の仕組みの構築である。

「苦情処理メカニズム」は、欧州CSR先進企業においても機能させるのが難しいとされている。企業として、苦情処理の仕組みは持っているが、機能しているか疑問である状況であるという。

「苦情処理メカニズム」で重要とされるのは、苦情のタイプ・背景によって異なった対応が必要なことである。従来の「会社と従業員」という構図でなく、異なる地域事情や文化的背景の中で、外部ステークホルダーへの状況説明や解決策が望まれているのである。

世界最大の鉄鋼メーカーであるアルセロール・ミッタル社(本社ルクセンブルク)は、2012年、従業員内部告発制度と苦情処理メカニズムを通して、人権、環境、安全衛生に関わる苦情を全社で1481件を受けた(2011年は598件)。

shimotaya_takeshi

下田屋 毅(CSRコンサルタント)

欧州と日本のCSR/サステナビリティの架け橋となるべく活動を行っている。サステイナビジョン代表取締役。一般社団法人ASSC(アスク)代表理事。一般社団法人日本サステイナブル・レストラン協会代表理事。英国イーストアングリア大学環境科学修士、ランカスター大学MBA。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード:

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..