各国のすう勢は企業の取り組みを支援【ダイバーシティとジェンダー】

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大西 祥世(グローバル・コンパクト研究センター研究員)

多くの国々で、女性の活躍による経済社会の活性化と、女性の経済的なエンパワメントの促進が、重要な政策課題とされています。ポジティブ・アクションなどの法制度を整備して政府が企業の活動を支援・促進するなど、さまざまな取り組みが行われています。今号は、その主なものをご紹介します。

1.男女別データの作成と報告の要求
企業における女性の現状を正しく把握するために、従業員や管理職の数や男女比率の公表が求められます。平均賃金や労働時間のデータを男女別に作成して公表することも大事です。

オーストラリアは2012 年に法律を改正して、企業による報告制度を導入しました。従業員100 人以上の企業は法律で定められた「ジェンダー平等指標」の7 項目に基づき報告書をまとめ、CEO が署名して、政府の「職場におけるジェンダー平等局」に提出します。報告書を提出しない場合は、企業名が公表されるとともに、政府と契約したり補助金を受給したりする資格を失います。

2.取締役への女性の登用の要求
管理職や取締役などへの女性の登用を促進することにより、企業の政策方針決定過程への女性の参画を一段と進めようという国もあります。ヨーロッパの国々で最近導入されて、注目されています。アイスランド、イタリア、オランダ、スペイン、ノルウェー、フランス、ベルギーでは、法律により、一定の規模の株主会社は取締役の30?40%は女性を任命するように求められています。
もし企業がその割合の女性を登用できない場合に何らかの制裁がある国と、ない国があります。ノルウェーでは、最終的には裁判所によって法人登記が取り消される可能性があり、違反した場合の制裁はかなり厳しいと言えます。この結果、企業の取締役における女性の割合が、2003 年は6%でしたが、2010 年は44%と大幅に上昇しました。また、フランスやベルギーは、企業が法律で定められた割合を達成できない場合、取締役の報酬の支払いは停止されます。

他方、他の国では「遵守するか説明するか」の原則が適用されます。企業には法律を守ることが当然求められますが、違反しても直接の制裁はありません。ただ、もし実行できなかった場合は、その理由を説明しなければなりません。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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