[サプライチェーン]御嶽山噴火発生、物流リスクを考える

上原修
上原 修(特定非営利活動法人日本サプライマネジメント協会理事長)

長野県と岐阜県に跨る御嶽山で9月27日正午前に起きた噴火で、長野県の木曽広域消防本部は同日夜、登山者27人が怪我をし、この内10人が重傷を負った。約230人が下山する一方、山頂付近などに複数の登山者が取り残されており、28日早朝から救助活動を始める。気象庁は「今後も噴火の可能性がある」と警戒を呼びかけている。

御嶽山の噴火は2007年3月以来とのこと。気象庁によると、噴煙が火口から高さ3千メートルに達していた場合、長野、岐阜、山梨、静岡各県の一部に火山灰が降る恐れがある。噴火後にレベルを5段階のうち3(入山規制)に引き上げたが、事前に情報を発表できなかったという意味で予知ができなかったようだ。御嶽山は1979年、水蒸気爆発を起こして火山灰などを噴出、91年には小規模噴火があったほか、07年にもごく小規模な噴火が発生しているという記録がある。

この事象で思い出すのは数年前のアイスランドの噴火である。

2010年のエイヤフィヤトラヨークトルの噴火による交通及び物流麻痺は、アイスランドの氷河に覆われた火山エイヤフィヤトラヨークトルの噴火により噴出した火山灰が、ヨーロッパ大陸上空に広く滞留した結果、多数の航空便が欠航して社会的活動に支障をきたした自然災害。航空便の発着が大きな規模で中止され、代替交通手段となった陸上交通機関と海上航路も混乱したのは記憶に新しい。空気中に火山灰が拡散したことにより、ヨーロッパにおける多数の国で領空が封鎖された。それにより航空便の飛行が不可能となり、ヨーロッパのフライト、ヨーロッパ以外の地域からヨーロッパへ向う航空便もキャンセルされた。

当時複数の友人がパリやロンドンの空港で足止めされ中途採用の面接試験に間に合わなかったなどの苦情を聞いていた。友人の英国人記者は、イギリス中部のマンチェスターやバーミンガム、またアイルランドの空港が新たに閉鎖されたのに続き、ヒースロー空港閉鎖された。航空便が発着するヨーロッパ各国では、領空が封鎖されすべての空港が閉鎖される地域と、部分的にフライトを認め、空港も一部運行している地域に分かれたことにより航空網に世界的に混乱が生じ、観光、物流、各種イベントなどにも影響は波及していったようだ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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