日本の路上で寒さに震える難民、緊急支援を呼びかけ

認定NPO法人難民支援協会(JAR)(東京・新宿)は、クラウドファンディングサイト「READY FOR」で日本に逃れてきた難民の支援を呼び掛けている。人権侵害や紛争などで故郷を追われた難民は、日本にも年間3000人以上来ているが、難民認定までに時間がかかり、寝床や食事など最低限の生活さえままならない難民が多い。(オルタナ副編集長=吉田広子)

難民支援協会の事務所で温かい食事を提供する
難民支援協会の事務所で温かい食事を提供する

「朝から何も食べていない」「住む場所がない」――。

こうした窮状を訴える難民が毎日、JARのオフィスを訪ねてくるという。昨年11月から1月までだけでも、129人が来所した。

「たどり着いた日本で、難民として日本政府に認めてもらうための手続きには平均3年、長い場合は5年以上かかります。その間、頼れる人も少ない異国の地で、ゼロから生き延びていかなくてはなりません」

JAR支援事業部で生活支援を担当している土岐茂里さんは、厳しい現状を説明する。

国連難民高等弁務官事務所によると、世界全体で難民の数は約5100万人にも上る(2013年)。日本政府は、これまで主にミャンマーからの難民を受け入れてきた。この数年、難民申請者数は増加傾向にあり、出身国も60カ国を上回るが、認められる人や国籍は低い水準で推移している。

■3000人のうち認定数はわずか6人

法務省の2013年のデータを見ると、難民申請者数3260人に対し、認定数は6人にとどまる。米国では約4万人の難民申請のうち約2万人が認められているのを考えると、日本は非常に低い数字だと言える。

さらに、現在の日本では、難民申請中、滞在するための法的な資格を誰もが保障されるわけではない。就労許可がなく働けない人や、国民健康保険に加入できないため高額な医療費を支払えず、病院に行くのをあきらめる人もいる。

難民申請者への公的支援もあるというが、支給額も十分ではなく、支給されるまで数カ月かかることもあり、セーフティネットとして十分に機能しているとは言いがたい。

そもそも、就労する資格があったとしても、日本語が不自由な難民にとって、仕事を見つけることは簡単ではなく、難民申請の仕方や支援団体の情報を求めることさえ難しいのが現状だ。所持金が底を尽きれば、路上生活を余儀なくされてしまう。

「アパートを借り、シェルターにすることで、寝床を提供するといった支援も行っていますが、数が足りず、数週間の路上生活に耐えていただくこともあります。寒さに慣れていない方も多く、真冬の路上生活など、想像を絶する厳しい現実が日本で待ち受けています」(土岐さん)

■取り締まりの強化ではなく、適正な審査を早急に

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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