トライセクター・リーダー【世界を変えるCSV戦略】

水上武彦
株式会社クレアン
このエントリーをはてなブックマークに追加

Exif_JPEG_PICTURE

水上 武彦(株式会社クレアン)

CSVは、企業が社会的課題に対応しつつ、企業価値を創造しようとするものですが、その実現のためには、政府や市民セクターとの協働が求められることも多々あります。そうした場合、こうしたほかのセクターの組織力学を理解して、適切にコミュニケーションする必要があります。そのときに力を発揮するのが、「トライセクター・リーダー」と呼ばれる人々です。
 
トライセクター・リーダーとは、民間、公共、市民社会の3つのセクターの垣根を越えて活躍、協働するリーダーです。ハーバード・ケネディー・スクールのジョセフ・ナイ教授は、「トライセクター・アスリート」という言い方もしています。
 
国内では、今後、政府と民間が協働で、地域社会の高齢化、農業、介護、教育、環境などさまざまな社会的課題に対応するために連携するケースが増えていくでしょう。海外においては、CSVのような取り組みを推進するためには、政府だけでなく、NGO/NPO や国際機関などとの連携が不可欠です。こうした状況において、トライセクター・リーダーの重要性が増しています。

■コカ・コーラの事例
「トライセクター・リーダー」については、ハーバード・ビジネス・レビュー誌の2014年2月号によくまとめられた論文が掲載されており、コカ・コーラのトライセクター・リーダーの事例が紹介されています。
 
コカ・コーラは、10年前にインド南部で大量の水を使用しているとして政府、NGOの反発に遭い、清涼飲料水の製造を禁止されるという大きな危機に直面しました。この事態を受け、コカ・コーラは、国務省やUSAID(米国際開発庁)など公共での経験が豊富なジェフ・シーブライト氏を外部から招聘して責任者に据えて、水資源の持続可能な利用に向けた戦略を構築しました。

シーブライト氏は、政府の環境関連部局でよく使われる地理情報システムを利用し、世界のコカ・コーラの工場の39%が水不足な深刻な地域に立地していることを明らかにし、鉱物・資源会社のリオティントに依頼し、コカ・コーラの20の事業部を対象とした水資源にかかわるリスク分析を実施しました。そして、USAIDやWWFなどと水資源保全に向けた協働プロジェクトを推進しています。

ページ: 1 2

水上武彦
株式会社クレアン
東京工業大学・大学院、ハーバード大学ケネディースクール卒業。旧運輸省航空局で、日米航空交渉、航空規制緩和などを担当した後、アーサー・D・リトルを経てクレアンに参画。CSR/サステナビリティのコンサルティングを主業務とする。ブログ「CSV/ シェアード・バリュー経営論」共著『CSV 経営』(NTT 出版)

2015年5月16日(土)14:06

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑