古着リサイクルで途上国支援、「フルクル」

設置した井戸に集まる子どもたち(ミャンマーで撮影)。中央部の乾燥地帯は東京の3分の1程度の降水量で、観光地から離れた村では3~4km歩いて水を汲んでいたこともあった
設置した井戸に集まる子どもたち(ミャンマーで撮影)。中央部の乾燥地帯は東京の3分の1程度の降水量で、観光地から離れた村では3~4km歩いて水を汲んでいたこともあった

NPO法人ブリッジエーシアジャパン(東京・渋谷=BAJ)は、古着回収を途上国支援につなげる「フルクル」に2011年3月から取り組んでいる。回収した古着をリサイクル業者に売却し、その収益をミャンマーでの井戸掘削・修繕や技術訓練学校の運営、ベトナムでの農業家支援や環境教育に役立てる仕組みだ。(オルタナ編集部=佐藤理来)

BAJは昨年度、約67トン回収し、売却した古着の収益は71万円に上った。リサイクル業者が買い取った古着のうち、状態の良いものは古着として途上国で販売する。再販が難しいものは、反毛した後、新しく軍手やストッキングを作る材料や、機械手入れ用の雑巾として再利用する。

フルクルプロジェクトの広報を担当する佐々木宏輔さんは、「現金寄付は敷居が高いと感じられがち。敷居を下げ、古着を通して、多くの人に国際貢献に関わってもらいたい。不要なものに資源として価値を生み出す意義もある」と話す。

参加方法は、BAJのウェブサイトから事前申し込みを済ませ、送料負担で兵庫のリサイクル業者まで送るだけだ。

これまでの寄付総額は185万3千円に上り、今では毎月4~6トンの古着が集まる。個人で参加した人がリピーターとなって、再び寄贈することも多い。

佐々木さんは、「今は年配の方の参加が多いが、今後は若い人ももっと取り込んでいきたい。季節による買い替えなど、不要な衣類はあるはず。より参加しやすい仕組みをつくりたい」と意気込みを語る。

BAJは1993年にベトナムの戦後復興支援をする任意団体として設立した。以降、ベトナムとミャンマーを活動拠点に、支援事業に取り組んできた。学校や井戸など環境整備のほか、職業訓練などにも力を入れる。ベトナムでは、環境負荷の少ない農業や環境教育も行う。

◆「フルクル」古着リサイクルプログラム http://www.baj-npo.org/Donation/index06.html

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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