ニシン絶滅に懲りない日本の漁業

井田徹治
共同通信社

根室海峡・道東・日高・胆振の系群のホッケも1989年の1万4200トンから2013年の3400トンと急減している。

道南のホッケについては「秋季の海表面水温が高い年には産卵個体群の沿岸への来遊状況が悪くなるため、海洋環境の変化についても注意が必要だ」とされ、地球温暖化による海水温度の上昇が資源に影響を与え始めた可能性もある。

市場に出回るホッケが小さくなっているのは、乱獲によって大きな魚が減り、産卵前の未成魚の乱獲も深刻化していることの表れとされ、資源の回復のために漁獲量の削減が急務だ。

米国沿岸などにいる近縁のキタノホッケ(シマホッケ)の米国の漁獲量も減少傾向にあり、輸入ものの代替品も品薄だ。

東京・築地のマグロ仲卸「鈴与」の3代目で、魚食や漁業の問題点についての発言も多い生田與克(よしかつ)さんは、近著『あんなに大きかったホッケがなぜこんなに小さくなったのか』(角川学芸出版)の中で乱獲によって漁業が崩壊した北海道のニシンの例を引き、「ホッケの現状を見ていると、どうやら日本はニシン絶滅の事例から何も学ばず、その経験がまったく生かされていないように思えてならない」と指摘している。

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井田徹治
共同通信社
記者(共同通信社)。1959年、東京生まれ。東京 大学文学部卒。現在、共同通信社編集委員兼論説委員。環境と開発、エネルギーな どの問題を長く取材。著書に『ウナギ 地球 環境を語る魚』(岩波新書)など。2020年8月からオルタナ論説委員。

2016年2月12日(金)12:19

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