介護人材不足解消へ、リクルートが挑む3つの切り口PR

このエントリーをはてなブックマークに追加

リクルートグループは、中小企業が抱える課題を解決することで地方創生につなげることを目指している。なかでも、超高齢化が進む日本では、介護業界の人材不足が大きな社会課題だ。2025年には38万人の介護人材不足が懸念される中、リクルートキャリアは2011年に業界の就業人口を増やすためのプロジェクト「HELPMAN JAPAN」を開始。「ブランディング」、「採用」、「定着・戦力化」という3つの切り口で多様な事業を展開している。

■マンガとのコラボで介護の仕事への誤解を解く

介護職の働きがいについて語る井口センター長

介護職の働きがいについて語る井口センター長(右)

介護業界が人材不足に悩まされる理由の一つに、業界に対してネガティブなイメージが広がっていることがある。

社会福祉法人小田原福祉会人財育成センター(神奈川県小田原市)の井口健一郎センター長は、「介護業界の仕事は一般の人には見えづらい。また、良い事業所もあればうまくいっていない事業所もある。良い事業所のイメージを正しく伝え、業界の偏見をなくしたい」と思いを語る。

「介護の仕事にはお年寄りの人生を丸ごと支える誇りと責任がある。本人や家族が明るくなっていくことも実感できる。想像力と創造力のどちらも発揮できるやりがいのある仕事だ」(井口センター長)

そこで、リクルートは業界を正しく理解してもらい、ポジティブな面を知ってもらうためにブランディング戦略の一つとして、介護業界に特化したウェブサイトを運営している。業界で働く人のインタビュー記事や仕事の裏側が見える業界ノウハウ記事などを掲載し、介護に関心が高い人だけではなく、幅広い層に興味をもってもらうことが狙いだ。

介護を題材に取り上げたマンガ「ヘルプマン!」とのコラボレーションも特徴だ。同マンガの作者・くさか里樹氏も、介護業界を取材するなかで人材不足を課題に感じ、コラボが実現した。

リクルートキャリアHELPMAN!JAPANグループの事業担当・繁内優志さんは、「業界のイメージアップに貢献することが目的だが、良い面だけを見せるのではなく、ありのままを伝えている。介護の仕事のやりがいや楽しさだけでなく、大変なところも知ってもらった上で、やりたいと思ってもらうことが重要」と言う。

ウェブサイト以外にも介護業界の魅力を本にまとめ、年間3万部を販売する。高校・大学で福祉の授業の教材として使われたり、就職イベントでは配布もしている。

このほか、全国の就職フェアや学校などで介護に関する講演活動を行い、業界のイメージアップに奔走している。

■介護業界を就職先の選択肢に

リクルートキャリア・アドミニストレーション統括室広報部マネジャーの宮村収さん

リクルートキャリア・アドミニストレーション統括室広報部マネジャーの宮村収さん

大企業と違って知名度が低いため、中小企業は就職先の選択肢に入りづらい。リクルートキャリアは、新卒・既卒者向けの中小企業の就職情報サイト「リクナビダイレクト」を立ち上げるなど、人材不足の解消に力を入れてきた。

リクルートキャリア・アドミニストレーション統括室広報部マネジャーの宮村収さんは語る。

「リクルートは創業以来、『人の可能性』を信じ、事業を展開してきた。人は自分の強みを自覚し、それが活かされる中で、可能性が最大化される。人と仕事の互いの力を最大化できるような出会いを創出していきたい」

中小企業の中でも、介護業界が抱えている人材不足は深刻だ。厚生労働省の発表によれば、2025年には約38万人の介護職員が不足すると推計されている。すべての都道府県で介護職員不足が起こるという。

「HELPMAN JAPAN」立ち上げの背景には、リーマンショック後の求人の激減もあった。求人は減っても、就職を希望する学生の数は変わらない。何とか、学生たちに求人を届けたいという思いから、これまでほとんど情報を届けられていなかった介護業界に注目する事になる。

同時に、介護業界に関心を持ち、就職先の選択肢の一つとしてもらうために、就職活動中の学生へのアプローチも積極的に行い、情報発信やイベントなどを行ってきた。

就職フェアなどでの講演では、リクルートが57年に渡り採用支援で培ってきたノウハウを活用して、介護業界の魅力を就活中の学生に訴求する。重点的に伝えるポイントは、学生の興味関心が高いワークライフバランスや介護業界の将来性。50%の事業所で残業がないことや未経験でも働けること、長期的に働けることなど「介護業界の事実」を伝える。

「福祉業界は人に寄り添う究極のサービス業。例えば、飲食やホテルなどのサービス業を就職先の選択肢としている人は、福祉業界に興味を持つ可能性がある。『知らない』から選択肢に入っていない人に働きかけていきたい」(繁内さん)

■研修を通じて定着率97%を実現

リクルートキャリア「HELPMAN!JAPAN」グループ編集人の繁内優志さん

リクルートキャリア「HELPMAN!JAPAN」グループ編集人の繁内優志さん

リクルートキャリアは、就職の選択肢を増やすだけでなく、「定着・戦力化」への取り組みにも力を入れている。介護業界の重大な課題の一つに離職率の高さがある。

年間約24万人が入職するのに、全体から約22万人が離職し、離職者のうち約60%が他の業界へ転職してしまう。就職する人を増やすことだけでなく、定着させていくことが、業界の就業人口増加につながる。

同社では定着率を上げるために、2つの研修に取り組む。1年目向けの「CHEER UP!」研修と、2〜5年目の中堅向け「GLOW UP!」研修だ。これらは業界を離職する人のうち、約40%が入職後1年以内、約30%が入職後3年以内に離職していることから開発された。

新人研修では働く上での軸やモチベーションといったマインドセットをテーマにしている。研修でなぜこの道を選んだか振り返りることで初心に返り、悩みを相談し合える同じ立場の社外同期をつくる。

通常、業界の入職1年後の定着率は66%だが、2014年の研修参加者は、1年後97%が定着するという高水準を実現した。

中堅向け研修では「視座を上げる」ことがポイントとなる。繁内さんは「介護の仕事はルーティンワークと感じてしまいがちなため、一通りの仕事ができると飽きたと離職につながるケースも多い」と言う。

研修では施設長の疑似体験を行い、施設全体をマネジメントする立場になって考える機会を作る。「仕事を横軸ではなく縦軸で考えるようになることで、視点を上げ、次世代リーダーとして仕事の幅を広げていく。そうすることで、仕事をルーティンワークとしてとらえるのではなく、まだ学ぶことがある、上を目指していけると感じてもらうことが狙い」(繁内さん)。

こうしたブランディングや人材育成のノウハウはリクルートグループが創業以来、培ってきたものだ。定着率も上がり、効果が出始めた一方で、経営の安定化やマネジメント力も求められてくる。ブランディングでイメージを改善し、研修で定着率向上を図るが、業界全体を底上げするには待遇改善に注力することが求められている。

繁内さんは「こんなに良い業界があったなんて知らなかったと言ってもらえることが嬉しい。就職・転職の際の選択肢に『介護』が当たり前のように選ばれる社会をつくっていきたい」と使命感に燃える。

≪リクルートのCSRに関するアンケートのお願い≫

2016年12月8日(木)20:06

alternaショップ
ページの先頭に戻る↑