廃棄物ゼロ社会を目指して:日本コカ・コーラ

「廃棄物ゼロ社会(World Without Waste)」を目指して――廃棄物のない世界に向けて、全世界のコカ・コーラシステムが動き始めました。2030年までに容器の回収・リサイクル率をさらに高めるなど、ハードルは極めて高い目標ですが、本当に実現可能なのでしょうか。プロジェクトを推進する日本コカ・コーラ社員に話を聞きました。

■担当者が語る「容器の2030年ビジョン」の中身

2018年1月、ザ コカ・コーラ カンパニー(米国本社)は、環境の新たなグローバルプランを発表した。そのプランとは、2030年までにコカ・コーラシステム(*)の製品の販売量に相当する缶・PET容器をすべて回収・リサイクルし、廃棄物のない世界を目指す。まさに前例のない取り組みを全世界のコカ・コーラシステムに促そうということだ。

日本コカ・コーラはこの考えを、日本向けに「容器の2030年ビジョン」と命名し、自分たちの「業務」の中に落とし込んだ。もともと日本コカ・コーラは容器に由来する環境問題の対策に、およそ40年にわたり取り組んできた。いったい今回のプロジェクトは、従来のものとはどこが違うのか。プロジェクトの中心人物、技術・サプライチェーン本部の近藤葵にその違いを説明してもらった。

「米国本社からグローバルプランが出されたことを受けて、その実現に向けて何をすべきか、ボトラー社とともに一から議論しています。日本のコカ・コーラシステムにとって容器への取り組みは今回が初めてではありませんが、明確な数値目標が掲げられたことがこれまでとの大きな違いです」

日本のコカ・コーラシステム一丸となって缶・PET容器のリサイクル率のさらなる向上を目指す。写真は、株式会社北陸リサイクルセンター

コカ・コーラシステムの容器に対する従来の取り組みとして、最近では2015年発表の「2020年目標」の1つである「持続可能な容器」が挙げられる。PETボトルの軽量化や空き容器の回収・リサイクル推進の取り組みを進めていくというものだが、回収率やリサイクルの重量比率までは言及していなかった。その意味で「容器の2030年ビジョン」は、さらに一歩踏み込んだ内容となっている。その具体的な目標は、次の「3つの柱」としてまとめられた。

① PETボトルの原材料として、可能な限り、枯渇性資源である石油由来の原材料を使用しない。原材料としてリサイクルPETあるいは植物由来PETの採用を進め、PETボトル1本あたりの含有率として、重量ベースで平均して50%以上を目指すこと。
② 政府や自治体、飲料業界、地域社会と協働し、国内のPETボトルと缶の回収・リサイクル率のさらなる向上に貢献するべく、より着実な容器回収・リサイクルスキームの構築とその維持に取り組むこと。
③ 清掃活動を通じて、地域の美化に取り組み、容器ゴミ、海洋ゴミに関する啓発活動に積極的に参画する。

「容器の2030年ビジョン」のキーマン、近藤葵。実はスイスで時計職人を目指した過去があるほどの腕時計好き。腕時計の簡単な修理なら朝飯前とのこと
*コカ・コーラシステム……原液の供給と製品の企画開発やマーケティング活動を行う日本コカ・コーラ株式会社と、製品の製造、販売などを担う5つのボトラー社で構成される。

■行政や消費者を巻き込みながら環境問題を解決していく

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #CSR

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