インパクト・マネジメントは活用へのシフト

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ソーシャル・インパクト・シリーズ:パート3

インパクト・マネジメント。聞き慣れない用語かもしれない。しかしこの用語は、21世紀前半のグローバルな社会課題への取り組みのキーワードとして注目せざるを得ないものになってきている。社会的インパクトシリーズのパート3として、この稿と次稿では、おもに英国のソーシャル・セクターで起こっている議論を概観し、その次では、海外の投資家を中心に起こっているこの用語にまつわる議論を紹介したい。(CSOネットワーク代表理事・今田 克司)

9月26日、社会的インパクト評価イニシアチブの会合で、社会的インパクト・マネジメントの意味について説明する筆者

Impact management is a state of mind(インパクト・マネジメントは心のあり方である)。ソーシャル・バリューUK(英国)のベン・カーペンター氏のことばだ(1)。彼とは日英の社会的インパクト評価をめぐる動きで情報交換する機会がこれまで何度かあったが、英国の休眠預金の動きのなかで、ソーシャル・セクターのさまざまな団体から活発に意見聴取をしている。英国でもソーシャル・インパクトの潮流に対する「不慣れ感」は強く、丁寧な説明によってセクターの広い層から理解を得ようという努力がここ数年続いている。

(1)活用へのシフト
英国内で説明役の一人の役回りを果たしているカーペンター氏がたどり着いた結論が冒頭の言明になるのだが、これが書かれたのが昨年11月。このブログのなかで、彼は「インパクトを測ること」(impact measurement) から「インパクト・マネジメント」(impact management)への転換についての考えを述べている。そもそも、英国の社会全体での社会課題解決志向が増大するのとあいまって、「インパクトを測ること」への政府や資金提供者の関心が高まった。ところが、「測ること」が「活用すること」に直接つながらないことが大きな教訓として浮上したのである。

ではどうするのか。ブログでカーペンター氏は、「測ることが目的化した情報収集には飽き飽きしている団体が多い」と観察したのち、多くの団体が、収集した「インパクト情報」を何にも活用していないことが明らかになってきている。そこで、団体が意思決定や事業のやり方を変更するために突然情報を使い始めたらどうなるだろうか、と投げかけ、その転換のキーワードが「測定」から「マネジメント」へのシフトだと言っている。つまり、この用語の変化は、「活用へのシフト」だというわけだ。

ではこの「インパクト情報」とはなんだろうか。

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一般財団法人CSOネットワーク
1999年に設立、2011年一般財団法人化。「公正で持続可能な社会に向けた価値ある取り組みを見出し、マルチステークホルダーの参画による社会課題解決を促す」をミッションとし、社会的責任・サステナビリティ推進事業、地域主体の持続可能な社会づくり、「持続可能な開発のための2030アジェンダ」推進、社会的インパクト・マネジメント事業(インパクト・マネジメント・ラボ)など、幅広い取り組みを行っています。 ウェブサイト:http://www.csonj.org/about/  フェイスブック:https://www.facebook.com/csonj

2018年10月4日(木)14:03

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