軍備ゼロ、自然エネ100%の国「コスタリカ」㊦

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エコツーリズムが経済を後押し

アステカ神話の文化神・農耕神とされたケツァール

そのひとつ、コスタリカのエコツーリズムの聖地と呼ばれるモンテベルデの自然保護区を歩いた。ここは熱帯雲霧林という霧が立ち込めるユニークな密林だ。

苔やシダ類、ランなどの着生植物で覆われた樹木の合間を縫うトレイルに入ってすぐ火の鳥のモチーフになったというケツァールの鳴き声に公認ガイドの上田晋一朗さんが気付いた。そして幸運にも美しいケツァールの姿を見ることができた。同国は確認されているだけでも875種の鳥類が生息している。これは米国とカナダで見られる鳥類の数を超えるという。

360種の鳥類、100種の動物が生息するモンテベルデ自然保護区には世界各国から野鳥愛好家が集まる

ハイシーズンには1ヶ月に1.8万人もの観光客が訪れるという「モンテベルデ自然保護区」は入場料が一人17ドル。保護区内はきちんと整備されたルートに分かれ、それぞれのトレイルに入る人数は制限がある。保護区の収入は、地元の雇用を作り出すだけでなく、保護区の環境整備などにも使われる。森林保護がもたらす経済への波及が再度、環境保護へと還元している。

自然エネルギー100%の次に向かうカーボンフリー

水力発電の為に造られたコスタリカ最大の人造湖、アレナル湖

経済的基盤として自然保護の重要性を認識するコスタリカは電力も自然エネルギーでほぼまかなっている。主要な発電源は水力で、国内電力需要の約74%を供給しており、次いで風力(16%)、火山地帯の地熱エネルギー(8%)と続く。

そして、その先に見据えているのがカーボンフリーとプラスチックフリーだ。昨年5月にコスタリカは化石燃料の使用をやめ、あと2年で世界初のカーボンフリー国家となると宣言した。また、2017年には使い捨てのプラスチックの使用を廃止すると発表している。

課題となっているのはガソリン車など交通からの炭素排出だ。確かに首都サンホセ周辺の主要道路は渋滞がひどく、カーボンフリーへの道筋は厳しいように見える。

しかし、コスタリカはこれまでも難しいとされる課題に対してまず宣言し、それを実行してきた。中米の貧しい国だったコスタリカが環境・エネルギー政策でも世界をリードする存在になってきたのは対外的な発信のうまさ、そして野心的な政策による部分も大きい。あと2年で世界初のカーボン&プラスチックフリー国家になれるか、世界が期待を持って見つめている。

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2019年6月8日(土)7:00

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