利益を超えなければ「パーパス」(存在意義)ではない

経営者が「purpose beyond profit」と言い続けられるか

例えば、「マイケル・ポーターがここで言う『共通価値を創造する』ことは『小目的』と呼ぶべきもので、ドラッカーが思い描いた『社会的な目的を実現し、社会、コミュニティ、個人のニーズを満たす』は『大目的』といわれるものです」(中略)。

「CSV、CSVと祭り上げて、CSVを目的化していては、それこそポーターが1979年に発表した競争戦略論に退行してしまいます」。まさにその通りです。

さて、このコラムを読んでいる皆さんが企業のCSR/サステナビリティ担当者であれば、何を思うでしょうか。「上司や同僚に『利益は目的ではない』と言った瞬間、ドン引きされる。バカにされる」と思わないでしょうか。

経営者や役員の皆さんはどうでしょう。胸を張って、社員に「利益は目的ではない」と言えますか。

ここが大きな岐路です。サステナビリティ経営も、ESG(環境、社会、ガバナンス)経営も、
トリプルボトムライン(環境、社会、経済)経営も、組織のパーパス(存在意義)を利益より上の概念に置かなければ、画竜点睛を欠くことになるのです。

経営者が「purpose beyond profit」と言い続けられる企業こそが「(結果としての」利益」を上げられるはずです。IIRCのレポートを読んで、改めて、その思いを強くしました。

ここで重要なのは、「投資する側」の見識です。ESGの取り組み内容だけでなく、経営者が利益よりパーパスを上位に掲げているか、しっかり見極めて下さい。それが出来る企業こそが、長期的な成長の伸びしろが大きいはずです。それをしっかり見極めることを、切に希望します。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #パーパス

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