世界で年60億羽の雄ヒヨコ処分、生きたまま粉砕も

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米国の食糧・農業研究財団(FFAR)によると、殺処分される雄ヒヨコの数は世界全体で毎年約60億羽にも上る。採卵用の鶏の雄は、卵を産まず、食用にも適さないことから、性別鑑定直後にグラインダー(破砕機)などで処分される。動物を人道的に扱う「アニマルウェルフェア(動物福祉)」が広まるなかで、こうした処分方法を批判する声が高まっている。(オルタナ編集部=吉田広子、多田野豪)

アニマルウェルフェアは、一般的に「動物福祉」と訳され、「人が動物を利用する上で、動物の幸せ・人道的扱いを『科学的』に実現するもので、動物本来の生態・欲求・行動を尊重する」という考え方だ。

1965年に英国で提唱された「5つの自由」は世界で採用されている。

◆ 動物の適正な扱いの基本原則「5つの自由」
1.飢餓と渇きからの自由
2.苦痛、傷害又は疾病からの自由
3.恐怖及び苦悩からの自由
4.不快さからの自由
5.正常な行動ができる自由

■世界で禁止される「ケージ」飼い

アニマルウェルフェアは、化粧品などの動物実験、ウールのミュールシングなど動物に関係する産業すべてにかかわる。なかでも、世界の家畜数(牛、豚、鶏)は764億頭にも上り(国連食糧農業機関、2017年)、畜産業、食品メーカー、小売りなどが果たすべき責任は大きい。もちろんそれを支える消費者の意識も重要だ。

例えば、卵に関して、日本人は1人あたり年間約330個を消費している。日本では約1.3億羽の採卵鶏が飼養されているが、そのうち9割が「バタリーケージ」で飼育されているという。

バタリーケージで飼育されている採卵鶏。羽を広げることもできない

バタリーケージとは、養鶏場の飼養システムの一つで、ワイヤーでできた金網に鶏を複数羽入れ、それを段状に重ねたり、身動きの取れない狭いケージに1羽ずつ入れたりする。ケージに入れられた鶏は羽を伸ばそうとして骨折したり、伸びた爪が金網に引っかかって足を骨折したりするなど、外傷が多い。

鶏は隠れて卵を産む習性があるため、隠れ場所のないバタリーケージでの産卵は強いストレスにもなる。

アニマルウェルフェアの観点からEUやスイス、米国の6州、インドなどはすでにバタリーケージを禁止。世界ではネスレやスタバなど1700社以上が「平飼い」「放し飼い」といったより良い飼育環境で育った卵を調達しようと、「ケージフリー」を宣言した。

放し飼いされている採卵鶏。羽や皮膚についた汚れや寄生虫を落とすために砂浴びする

■スイス政府、生きたままの裁断を禁止

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2020年1月8日(水)7:00

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