COP10、議定書採択し閉幕

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国連生物多様性条約の第10回締約国会議(COP10=名古屋会議)は10月30日、微生物など遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」、生態系保全の国際目標「愛知ターゲット」の採択、生態系保全基金の設置を決めて終わった。妥結が危ぶまれた交渉は関係国が歩み寄り、成果を挙げた。議定書は50カ国が批准して90日後に発効し、各国には取り組みの実践が求められる。

同議定書は、生物から取り出した遺伝資源を利用する企業は提供国から事前の同意を得て、医薬品開発などで得られた利益を配分すると規定。また企業が本拠を置く国に対して、資源利用の監視機関を設けること、提供国には証明書の発行を求めた。さらに各国が情報を共有できるよう、条約事務局に情報とりまとめ機関(クリアリングハウス)が設置される。

愛知ターゲットでは、「20年までに生物多様性の損失を止めるために効果的で早急な行動を取る」とした。陸域は少なくとも17%、海域は少なくとも10%を現状のまま保全する数値目標を定め、外来種の侵入防止などの目標が決まった。

また保全基金については、途上国の生態系保全を後押しする資金配分機関の設置で合意した。資金規模と枠組みは未定だが、生態系保全に役立つことが期待されている。日本は途上国の譲歩のため、同基金に20億ドル(1600億円強)の提供を約束した。

会議は閉会予定の29日を超え、名古屋議定書の採択は30日の午前1時半までずれこんだ。生物資源の配分について、企業がそれを利用する先進国と、利益配分を増やすことを求めた途上国との間で交渉が難航した。特にアマゾンの森林地帯を国内に持つブラジルなど、中南米諸国が利益再配分の強化を主張した。

しかし最終的に決裂を回避できた背景には、昨年の温暖化交渉の失敗がある。昨年12月にデンマークのコペンハーゲンで開催された気候変動枠組み条約第15回会議(COP15)が事実上合意に至らず、温暖化交渉は現時点で暗礁に乗り上げたままだ。今回の成果は、COP15の二の舞を防ぐという強い意思の表れとみることもできる。

閉幕後、記者会見した議長の松本龍環境相は、名古屋議定書の早期批准を目指すとともに、その実行を担保するための里地里山法(生物多様性保全のための活動促進法)などの国内法を制定する方針を明らかにした。

次回の締約国会議(COP11)は12年10月にインドで開かれる予定だ。(オルタナ編集部=石井孝明)11月2日

COP10 ホームページ(英語)

2010年11月3日(水)9:00

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