仏の新型コロナ対策(下):増えるDVと弱者支援

3月17日からの外出禁止で、弱い立場の人たちがいっそう追い詰められている。政府や女性保護団体は、配偶者の暴力から逃れられない女性が増えることを危惧している。ホームレスは、見回りをする支援団体の職員やボランティアが減り、トイレ、給水所が閉鎖されて生存の危機に陥った。しかし外出禁止から1週間経った現在、政府とNGOの協力が成果を上げつつある。(パリ在住編集委員=羽生のり子)

■外出禁止で増えるDV

2019年11月23日にパリであった女性への暴力反対デモで。「女性を殺された全国家族会」の垂れ幕を持つ人たち。右の写真の女性は2017年に配偶者の暴力で亡くなった137人目

2019年DV(配偶者などによる暴力)で亡くなったフランスの女性は101人、2018年は121人だった。男女平等・差別対策担当庁は、1年間に配偶者、元配偶者、恋人から身体的または性的暴力を受けた女性は21万9000人にのぼると推定している。

この数が外出禁止令で増えるのではないかと、政府も被害者支援団体も危惧している。奇妙なことに、匿名でかける国の無料電話番号への架電件数は、外出禁止になってから減った。加害者と同じ屋根の下にいると、電話したことが相手に悟られ、さらに暴力を振るわれるおそれがあるからだという。

新型コロナウィルスでDVが増えるのは世界的な傾向だ。3月16日にトルドー首相が国民の自宅待機を訴えたカナダでも、女性支援団体が被害の増加を懸念している。被害者は配偶者が仕事に出ているときに逃げるが、それができない。

「ラジオ・カナダ」は3月22日、「自宅待機が勧められても逃げることは禁止ではない。受け入れ先はあるので、逃げるように」と緊急電話番号をサイトに載せた。通信社「カナディアン・プレス」は3月20日、家にいる子どもへの暴力も増えると警告した。

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