つくる・つかう責任 顧客に「ヒント」PR

SDGs(持続可能な開発目標)のゴール年である2030年まであと10年。特に目標12「つくる責任・つかう責任」や目標17「パートナーシップで目標を達成しよう」は、メーカーと生活者をつなぐ小売業の役割が大きい。「ヒント・マーケット」を掲げる東急ハンズに話を聞いた。(オルタナ副編集長・吉田 広子)

■消費から世界を変える① サラヤ×東急ハンズ

東急ハンズ広報・CSR推進室の伊藤大輔室長

「東急ハンズはDIY用品や修理パーツを取り扱ってきたので、以前からモノを大切に長く使おうとするお客様が多い。当社の顧客は元々、サステナビリティ(持続可能性)への意識が高いと思う」

こう話すのは東急ハンズ広報・CSR推進室の伊藤大輔室長だ。同社は1976年の創業以来、「お客様の生活文化の創造をお手伝いいたします」を企業理念に掲げ、幅広い品ぞろえと知識豊富で丁寧な接客で「東急ハンズ」というブランドをつくり上げた。

2009年からは「ヒント・マーケット」をコンセプトに掲げ、生活を豊かにするためのヒントを提供してきた。店頭では、季節や時流に合わせたヒントラック(商品提案棚)やヒントショー(商品紹介実演)を展開している。

「インターネットの普及で世の中に商品があふれ、だれでもモノを買える時代に入り、東急ハンズの提供価値を再定義することになった。単に商品を売るのではなく、その使い方や生活環境の変化に合わせた提案が求められている。店頭POPや商品の陳列などすべて含めたハンズらしさを「ヒント・マーケット」と表現した」(伊藤室長)

■小売業の「つなぐ責任」

東急ハンズはSDGsにどう取り組んでいるのか。

伊藤室長は「メーカーの「つくる責任」をお客様の「つかう責任」につなげられるように媒介していくことが東急ハンズの役割」と説明する。

「SDGsに関心があっても、何をすれば良いか分からない人も多い。東急ハンズの売り場で何か気付きを得たり、商品を買うことで貢献できたり、行動したりするきっかけを提供していきたい」(伊藤室長)

サラヤの商品を取り扱うのも、その一環だ。東急ハンズでは早くから「ヤシノミ洗剤」をはじめとしたサラヤ製品を販売し、一部の店舗で「ハッピーエレファント」シリーズの特設コーナーを展開する。

2012年に発売した同シリーズは、象やオランウータンなど、ボルネオの生物たちを守りたいという思いから生まれた。

環境と人権に配慮して生産された「持続可能なパーム油」を原料としてサラヤ独自の発酵技術から生まれる天然洗浄成分「ソホロ」を配合し、排水は水と二酸化炭素に素早く分解される。製品の売上高の1%はボルネオの環境保全に役立てる。

東急ハンズ清掃用品担当バイヤーの園田節子さん

「極端なことをいえば、食器や衣類を洗うためだけの洗剤なのに、サラヤは原材料の調達から生産プロセス、使用後のことまで考えている。言い訳をせずに結果を見せる。そのたたずまいが魅力的だ」

こう評価するのは清掃用品担当バイヤーの園田節子さんだ。サラヤ社員を招いて、商品や開発の背景を学ぶ社内勉強会も開催した。

園田さんは「汚れが落ちるだけでなく、泡切れや香りにこだわるユーザーが増えるなか、そうしたニーズにも応えながらも、見えない裏側にまでこだわる。サステナビリティを重視したサラヤの考え方に触れたことで、新たな視点で商品と向き合うことができた。スタッフが学ぶ機会をつくり、お客様に還元できるような仕組みもつくっていきたい」と意気込む。

■パートナーシップで推進

SDGsが広がるなか、消費者の購買行動は変わっているのだろうか。

東急ハンズの伊藤室長は「子どもや若い世代を中心に価値観が変わってきているのを実感している。だが、環境に良いからといって実際に購入してもらうのは難しい」と明かす。「だからこそ、消費者に一番近いところにいる東急ハンズが表現を工夫しながら、「サステナビリティのヒント」を提供していくことが重要だと考えている。お客様の反応をメーカーにフィードバックすることもできる」と続ける。

東急ハンズは北海道から沖縄まで全国52店舗を展開し、7千社にも上る取引先がいるという。全国の生産者やメーカー、消費者とつながる東急ハンズにとって、SDGs目標17の「パートナーシップで目標を達成しよう」はまさに本業に直結するテーマだ。

サラヤ広報宣伝統括部の廣岡竜也統括部長は「世界を変えるために大切なことは、消費者の購買行動。購買という消費者の支持があるからこそ、私たちはこだわった商品開発や社会貢献活動を維持できる。私たちと消費者をつなぐ小売業の協力を得て、サステナブルな消費社会をつくっていきたい」と期待を寄せる。

新型コロナウイルス禍で世界は大きな打撃を受けた。一方で、経済復興しながら、気候変動対策を迅速に進め、持続可能な社会の実現を目指す「グリーンリカバリー」という動きも出てきた。

東急ハンズの伊藤室長は「従来のルールや概念が変わっていくなかで、いままで以上にサステナビリティを考える機会が増えてくる。お客様にとって本当の「豊かさ」とは何か。お客様と一緒に考えていきたい」と力を込めた。

2020年7月28日(火)20:07

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