「メタンハイドレートは資源ではない」石井吉徳・元国立環境研究所長

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■長年の研究プロジェクト、その経過と成果

メタンハイドレートの調査研究には音波探査、ボーリングが欠かせないが、近年は石油探査に使われる大規模な海洋地震反射法も用いられる。

反射記録断面に強い反射波列として、メタンハイドレート層が表現されるからである。音響インピーダンスの顕著な変化のためで、ボーリングさらに具体的に調べるのである。コア採取で、メタンハイドレートはシャーペット状に観測、採取されるものである。

日本では最初、エネルギー総合研究所に設置された委員会(委員長石井吉徳)で1990年ころから研究調査を始められた。その後、石油天然ガス・金属鉱物資源機構と関連する民間の探査、海洋掘削会社に引き継がれた。そして年100億円もの税が投入されるようになった。

南海トラフでは、ボーリングによって、メタンハイドレートが確認された。そして2002年には、国際共同作業として、カナダのマッケンジー・デルタで永久凍土地帯の浅層を掘削、メタンハイドレート層に熱水注入してメタンガスが回収されている。

2008年に、同じく永久凍土1100mのメタンハイドレート層から、減圧法でメタンガスが連続回収された。これを受けて、2018年頃にはメタンハイドレート事業が商業化すると言われたが、その経済性は不明のままだった。

■膨大な回収エネルギー、見積もられない収支比、EPR

かくして20年が経過した。だが上述のように経済性は不明のまま、EPR(エネルギー収支比)も未評価で、納得できる回収エネルギー分析もされていない。

カナダでは地下1000mのボーリング孔から80℃の温水を注入、メタンは遊離回収されたが、これはメタン生産に別エネルギーが使われたことになる。

減圧法も試みられた。しかしそれだけでは不十分とみられている。減圧法が主体だが、他の+αが必要とされている。例えば分解促進にメタノールの注入、そして分子置換に二酸化炭素の挿入も考えられる。それはメタンより二酸化炭素のほうが安定トラップされるからである。だが技術的には可能であっても、エネルギーコストはさら増大しよう。

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2011年10月9日(日)20:18

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