新連載--「環境難民」はジブンごと!? 第1回・総雨量2000ミリ時代の日本

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もはや「環境難民」は他人事ではない
第1回・「総雨量2000ミリ時代」の防災
――日本気象協会・辻本浩史氏

気候変動や開発などで自然環境が急激に変化した結果、住む場所を追われる「環境難民」が地球上の各地で増えている。海面上昇によって水没の危機にさらされている南太平洋ツバルがその代表例だ。タイ・バンコクの水害は日々深刻な状況になり、「環境難民」は一国の首都にすら大量発生する様相を呈してきた。しかし環境難民はもはや「遠い場所の出来事」ではない。日本気象協会の辻本浩史・防災事業部長に聞いた。

――9月に紀伊半島を直撃した台風12号では、奈良県上北山村でアメダスの72時間観測雨量で過去最大となる1652.5ミリを記録し、大規模な土砂災害や洪水などの甚大な被害をもたらした。日本気象協会は9月7日にレポート「総雨量2000ミリの時代を迎えて」を発表し、今回の記録的な雨量は台風のゆっくりとした移動速度に加えて、日本近海の海水温の上昇が関係する、と指摘。「想定外だったとは言えない」としている

辻本浩史氏 日本気象協会事業本部 防災事業部長。博士(工)。気象予報士

今回のレポートは、私も委員を務めた砂防学会の研究委員会が今年5月に行った発表を踏まえたものだ。2005年に九州南西部で1000ミリ以上の大雨をもたらした台風17号と、2009年8月に台湾を襲い、3000ミリという記録的な大雨を記録した台風とを比較検討した結果、日本でも2000ミリ以上の大雨が降ることがあり得ると指摘した。

台湾を襲った2009年の台風では、山岳部で発生した「深層崩壊」と呼ばれる大規模な土砂災害により、南部の村がまるごと壊滅してしまった。この現象は連続雨量が2000ミリを超した時点で発生したとみられるが、9月の台風12号でも同様に土砂崩れが発生し、各地で土砂ダムができるなどした。残念ながら、予想したような形で事態が推移してしまった。

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2011年11月1日(火)10:30

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