「環境難民はジブンごと!? 第2回・環境難民リスクを地球規

もはや環境難民は他人事ではない・第2回
環境難民リスクを地球規模でリサーチ SATREPS・岡谷重雄氏

気候変動や急激な開発で生活環境がおびやかされる地球規模のリスク「環境難民」。例えばタイ洪水では被災住民だけでなく、現地進出の日本をはじめとする海外企業にも深刻な影響を与えた。2回目の今回は、こうしたリスクの解決に向けていち早く研究に取り組む独立行政法人科学技術振興機構の活動「SATREPS(サトレップス)」を紹介する。同機構参事役の岡谷重雄氏にきいた。

――SATREPSでは何を研究しているのか

岡谷重雄氏 独立行政法人科学技術振興機構 参事役・地球環境規模課題国際協力室長

SATREPS(Science and Technology Reserch Partnership for Sustainable Development、地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム)はその名の通り、一国だけでは対応が難しい地球規模の課題について、途上国と協力して解決のための研究を行う取り組みだ。当機構とJICA(国際協力機構)が連携して、2008年に事業をスタートさせた。

現在、アジア・アフリカ地域を中心に気候変動や低炭素社会、生物資源、防災、感染症などをテーマに60プロジェクトについて相手国と共同で研究が進む。例えば今回のタイ水害との関係でいえば、SATREPSでは東京大学の沖大幹教授を中心に、タイ気象局や王立灌漑局などと共同で水災害リスクを評価し、治水・利水の具体策について提言するためのプロジェクトを08年から進めていたところだ。

SATREPSのウェブサイト (http://www.jst.go.jp/global/)

多くの日本企業が冠水したアユタヤ地方は以前から洪水に見舞われていた場所で、今回は平年と比べて1.4倍の雨が降ったが、排水整備が立ち遅れているために被害が生じた。住民に加え日本企業までもが「環境難民」と化しているのが現状だ。

日本はスーパーコンピュータを使用したシミュレーションなどが得意で、ハザードマップの作成や土砂災害対策などは得意分野だ。これと対照的に、干ばつ地域での持続的な農業をテーマにした研究もあるが、現地の住民が住む場所を追われないようにするという視点からすれば、まさにSATREPSの研究分野は「環境難民リスク」の回避というテーマと、そのまま重なる。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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