有機野菜に再エネ、ワタミのサステナブルな居酒屋

記事のポイント


  1. ワタミがサステナブルな居酒屋を大井町にオープンした
  2. 自社農場で社員が育てた野菜を使った手作りの料理を提供する
  3. 店舗の使用電力は100%再生可能エネルギーで賄う

ワタミは10月5日、新たな総合居酒屋ブランド「和民のこだわりのれん街」を立ち上げ、1号店を東京・大井町にオープンした。有機農場「ワタミファーム」で育てたオーガニック野菜を提供するほか、店舗の使用電力は100%再生可能エネルギーで賄う。SDGsに貢献するモデル店舗として、広げたい考えだ。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

総合居酒屋「和民のこだわりのれん街」大井町東口駅前店

「和民のこだわりのれん街」は、これまでワタミが展開してきた「居食屋 和民」や焼肉「かみむら牧場」など7ブランドを統合した新ブランドだ。サステナビリティ(持続可能性)にもこだわる。

ワタミファームは、国内7カ所に531ヘクタールの規模で、有機農業・酪農を展開している。そこで栽培された有機レタスや有機トマトなどを料理に使用する。

アニマルウェルフェア(動物福祉)にも配慮し、約300ヘクタールという広大な敷地で、有機牧草を食べて育った牛の生乳からできた「北海道美幌グラスフェッドアイス」も提供する。卵や化学添加物、生クリームは不使用で、カロリーは半分に抑えた。

ALPS処理水の放出で、風評被害を受けるホタテを使ったメニューも展開し、漁業者を応援する。

店舗から出た食品残さは、畜産における飼料原料に再資源化され、それを食べて育った畜産物をお店で提供する。このリサイクルループを大田区の協力のもと、年明けから始める予定だ。

店舗の使用電力は、ワタミの風車「風民」(秋田県にかほ市)で発電した再可能エネルギーですべて賄う。ワタミは2040年までに事業活動で使用する電力の100%を再生可能エネルギーにすることを目指している。

このほか、店の木材は同社が管理する森の間伐材を使ったり、ユニフォームにはリサイクル素材を使用したりするなど、サステナビリティにこだわった。

同社は「和民のこだわりのれん街」をSDGsに貢献するモデル店舗として、広げていく考えだ。

新業態立ち上げの背景には、いずれ訪れる日本のインフレがあるという。同社の渡邉美樹社長は、「今後、飲食業で生き残っていくためには、企業側のメッセージと『手づくり』や『SDGs』などの付加価値が必要だ」と話した。

渡邉社長は、「付加価値を生み出すことで、消費者に商品価格の高騰を理解していただけるように挑戦する。そして、最終的には従業員の賃金を上げ、社会に外食産業の新しいモデルケースを提案したい」と意気込みを語った。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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キーワード: #サステナビリティ

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