記事のポイント
- パレスチナ自治区のガザ地区で戦闘が激化している
- イスラエルの報復は続き、空爆に加え、食料や水、電気などの供給も停止
- 国連WFPは80万人以上に食料支援を行うための緊急作戦を開始した
武装組織ハマスによるイスラエルへの攻撃をきっかけに、パレスチナ自治区のガザ地区で戦闘が激化している。イスラエルの報復は続き、連日の空爆に加え、食料や水、電気などの供給も停止した。国連世界食糧計画(WFP)は10月10日、ガザとヨルダン川西岸地区の80万人以上に食料支援を行うための緊急作戦を開始した。(オルタナ副編集長=吉田広子)
ガザ地区は、イスラエル、エジプトに挟まれ、地中海に面する地域だ。1993年のオスロ合意に基づき、ヨルダン川西岸地区とともに、「パレスチナ自治区」になった。現在ガザ地区には、約220万人が暮らす。イスラム武装組織ハマスが実効支配している。
国連WFPは10月9日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)の協力のもと、7万3000人にインスタント食品を配布した。16万4000人には、現金支給を行った。だが、ヨルダン川西岸とガザの間のすべての国境と検問所が閉鎖されているため、さらなる援助が難しく、危機はさらに悪化しているという。
国連人道調整機関(OCHA)によると、ガザで暮らすパレスチナ人は現在、1日あたり3―4時間しか電気を利用できず、医療施設の機能や負傷者の治療に支障が出ている。
国連WFPは、この危機的状況に対処するには、今後 4 週間で総額 1730 万米ドル(約25億円)が必要だとして、支援を呼び掛けている。
国連機関は、ガザ地区の人々に重要な物資を届けるため、避難したり物資を運んだりする「人道回廊」の確立を目指す。