ところで、今回の最終審査会に参加させて頂いた中で痛感したのは、企業もNPOも、情報発信やコミュニケーション戦略にもう一工夫が必要だという点でした。
具体的には、次の3点がポイントになると考えます。
1)短い名前(ニックネーム)2)ストーリー3)デザイン性
1)名前とはNPOの名前、事業の名前を指します。総じて日本のNPO業界では「固い名前」「長い名前」が多いようです。事業名も同じです。「○○地区○○問題対策推進事業」などは一度見ただけではなかなか覚えることはできません。
しかし、NPOの名前を変えたり、事業の名前を変えることは容易ではありません。そこで、NPOの名前や事業名にニックネームを付けることをお勧めいたします。
しかも、その名前は4-5文字(音節)以下にすることがポイントです。良いネーミングは短く、力強いものです。4音節以下の名前は、ブランドとして広く認知されやすくなります。
「アマゾン」「アウディ」「ミツビシ」など、洋の東西を問わず、有名なブランド名のほとんどが、4音節以下なのです。NPOでも、短い名前の方が有名になる確率は高いのです。「ケアプロ」「カタリバ」「ETIC.」などの名前は世の中にもだんだん広がってきました。
2)プレゼンなど、人を説得するときに大事なのはストーリー性です。特に苦労話は人の共感を呼びます。障害や試練をどう乗り越えてきたか。簡潔なエピソードを交え、力強く伝えて下さい。今回の大賞では、株式会社リクルートの力強いプレゼンが印象に残りました。
3)最後に重要なのは「デザイン」です。ストーリーと同様、人から共感を得て、人を動かしていくためにはデザイン力が問われます。ロゴ、パンフレット、フライヤー(チラシ)、パワーポイント。その一つ一つのデザインが、とても重要なのです。優れたブランドは、優れたデザインが支えます。その意味では、企業やNPOの情報発信は、優れたブランドづくりのためにほかならないのです。
これからは、「ソーシャル・ブランド」の時代です。それを担うのは企業だけではなく、NGO/NPOほか、あらゆる組織です。以上の3点の要素をクリアすることが、優れたソーシャル・ブランドづくりのために不可欠であることを改めて強調したいと思います。(オルタナ編集長 森 摂)