記事のポイント
- 三井不動産は脱炭素に関する会見で、神宮外苑再開発の従来方針変えず
- 再開発反対派などとの対話について「これまで通り対応」と言うにとどめた
- ロッシェル・カップ氏は「対話のテーブルについて」と訴える
神宮外苑の再開発を巡って、樹木伐採による景観悪化を懸念する声が鳴りやまない。三井不動産は記者会見で、神宮外苑再開発について従来通りの開発方針を続ける姿勢をみせた。住民らとの対話も「これまで通り対応させていただく」と言うにとどめた。再開発反対派は「計画の変更・改善を視野に入れた意見交換の機会を」と訴える。(オルタナ編集部・萩原 哲郎)

三井不動産は17日、自社の脱炭素の取り組みに関する記者会見を開いた。その中で、植田俊社長は神宮外苑再開発について「開発は緑の保全、新たな緑の創出を行うものだ。景観や風致の保全を進めながら、まちづくりを行っていく」と、従来通りの説明を繰り返した。
神宮外苑再開発を巡っては、「3000本以上の樹木の伐採・移植だ」などと、景観や緑化保全への悪影響を懸念する声が住民らから多く出ている。
三井不動産ら事業者側は再開発プロジェクトの公式サイトを通じて見解を発信するが、計画の変更を求める反対派とは応酬が続く。会見後、囲み取材に応じた山本有・サステナビリティ推進部長は、反対派との対話について「これまで通り対応させていただく」と答えるにとどめた。
■外苑再開発の反対運動主唱者「誠意ある対応を」
外苑再開発の反対運動の主唱者であるロッシェル・カップ氏は三井不動産などの事業者側の対応について「何度も事業者に要望書を送ったが一度も返答はなく、対話の機会もない」と話した。
その上で「まずは日本イコモス国内委員会と面談をし、誠意ある対応をすべきだ。近隣住民だけでなく、一般市民、神宮外苑の利用者、学識者や専門家も含めて、計画の変更・改善を視野に入れた意見交換をする機会を望む」と訴えた。