記事のポイント
- 11月24日は、年末商戦の初日と位置付けられる米国発祥の大規模セール「ブラックフライデー」だ
- だが、大量消費・大量廃棄につながるとして、反対する動きもある
- スイスのアップサイクルブランド「フライターグ」は、オンラインや店舗での販売を停止した
11月24日は、年末商戦の初日と位置付けられる米国発祥の大規模セール「ブラックフライデー」(「感謝祭」の翌日金曜日)だ。日本でも、アマゾンや流通大手が始めたことをきっかけに、認知が広がった。だが、大量消費・大量廃棄につながるとして、反対する動きもある。スイスのアップサイクルブランド「フライターグ」は、オンラインストアや店舗での販売を停止し、無償でバッグの貸し出しを行う。(オルタナ副編集長=吉田広子)

ブラックフライデーは、感謝祭明けにスタートする大規模セールで、この日を境に小売店が黒字になることから、こう名付けられたといわれる。
米アドビ・アナリティクスによると、2022年のブラックフライデー(11月25日)の米国のオンライン消費額は過去最高の91億2000万ドル(1兆3600億円)に上った。日本でも、2016年ころから流通大手を中心にブラックフライデーが始まり、2019年にアマゾン・ジャパンが実施すると、その認知は一気に広がった。
しかし、ブラックフライデーは、大量消費・大量廃棄につながるとして、反対する動きもある。返品も多く、配送に伴うCO2も多量に排出する。
英シンクタンク・グリーンアライアンスの報告書(2019年)によると、ブラックフライデーで購入された製品の最大80%がほとんど使われることなく、最終的に埋め立て、焼却、または低品質のリサイクルとして処分されると指摘する。米国では、ブラックフライデーから新年までの間に、廃棄物が25%増えるという。
米国で、早くからブラックフライデーに異を唱えたのは、米アウトドアメーカーのパタゴニアだ。同社は2011年、「このジャケットを買わないで」という広告を米ニューヨーク・タイムス紙に掲載した。2016年には、ブラックフライデーの売上高を環境保護団体に寄付することを公表。全世界合計で1000万ドル(約15億円)を売り上げ、その全額を寄付した。

スイス発のフライターグは、トラックの幌(ほろ)やシートベルトといった廃棄素材を使ったアップサイクルブランドだ。バッグや財布、小物などを製造する。
同社は、「ブラックフライデーは『行き過ぎた割引戦争』」だとして、オンラインストアや店舗での販売を停止することを決めた。代わりに、来店客には2023年12月8日(2週間)まで無償でバッグを貸し出す。
同社は「私たちにとってブラックフライデーは、ブランドとしてだけではなく、一個人、消費者として『ノー』を示す日。ブラックフライデーが人や自然に与える影響は、フライターグの姿勢や価値観と相容れるものではない。未来は、フェアで意識的かつ資源節約型の循環経済にある」としている。