オルタナ総研統合報告書レビュー(26):楽天グループ

記事のポイント


  1. 楽天の「Tech & Green」は環境とウェルビーイングを包含した目標だ
  2. 具体的には環境に配慮した生活や買い物を消費者に提供することを指す
  3. 同社のCWOは「Tech & Green」がウェルビーイングを実現すると強調

楽天グループは2022年、創業25周年のテーマとして「Tech & Green」を掲げました。環境、調達、人権、ダイバーシティ、ウェルビーイングを包含した目標です。「楽天コーポレートレポート2022年12月期」では、小林正忠・CWO (Chief Well-Being Officer) は、「Tech & Green」を通じて、持続可能な未来に向け個人・組織・社会のウェルビーイングを実現すると強調しました。(オルタナ総研フェロー=室井 孝之)

「楽天コーポレートレポート」(2022年12月期)の表紙

「Tech&Green」では、「グリーン」を平和やサステナビリティの象徴と捉えました。環境問題への対応を始め、サステナブルな調達活動、人権、ダイバーシティ、ウェルビーイングなどを総合的に包含します。テクノロジーを活用しながら持続可能な社会の実現を目指す強い意志を示しました。

同グループがウェルビーイングを大切にする背景には、1997年の創業当初から追求してきた、同グループ・店舗・消費者の三者がwin-win-winとなる 「三方よし」の考え方があります。すなわちステークホルダー全体の利益を追求するという考え方です。

小林・CWOは、「楽天グループは、サステナビリティが事業機会につながること、社会の変革を生み出すことを大切にしている」と述べています。

この考えを体現する事例を三つ紹介します。一つ目は、「Go Green Together」キャンペーンです。楽天のサービスを通じて、環境に配慮したグリーンな生活や買い物の選択肢を消費者に提供します。そのことを通じて、持続可能な社会の実現を後押ししていきます。

二つ目は、「サステナビリティアイコン」や「サステナブルトラベルバッジ」の導入です。

「楽天トラベル」の宿泊施設が、環境や社会への影響に配慮していることを、サステナブルな旅行を推進する一般社団法人JARTAが監修したアイコンやバッジで示すものです。

三つ目は、LGBTQ+のカップルやシニアの消費者を対象とした金融サービスです。パートナーシップ証明書の提出不要な「楽天銀行LGBT住宅ローン」や自宅を売却せずに老後の資金を作る「楽天銀行リバースモーゲージ」があります。

小林CWOはCWOメッセージを、次の様に結んでいます。

1.「目の前の仕事、人とのつながりなど、人生のあらゆる側面において意義を見出すことが、ウェルビーイングの鍵だ」

2.「世界中の人々が、すべてに価値を感じながら、人生を実りあるように生きることができる社会を実現することが、Chief Well-Being Officer である私のミッションである」

3.「ステークホルダーと連携しながら社会課題の解決に取り組み、持続可能な未来に向けて、個人・組織・社会のウェルビーイングを実現する」

muroi

室井 孝之 (オルタナ総研フェロー)

42年勤務したアミノ酸・食品メーカーでは、CSR・人事・労務・総務・監査・物流・広報・法人運営などに従事。CSRでは、組織浸透、DJSIなどのESG投資指標や東北復興応援を担当した。2014年、日本食品業界初のダウ・ジョーンズ・ワールド・インデックス選定時にはプロジェクト・リーダーを務めた。2017年12月から現職。オルタナ総研では、サステナビリティ全般のコンサルティングを担当。オルタナ・オンラインへの提稿にも努めている。執筆記事一覧

執筆記事一覧
キーワード: #サステナビリティ

お気に入り登録するにはログインが必要です

ログインすると「マイページ」機能がご利用できます。気になった記事を「お気に入り」登録できます。
Loading..