記事のポイント
- 国を挙げての「貯蓄から投資へ」の大合唱のなか、来年から新NISAが始まる
- その方向性は良いが、どこまで国民の資産形成につながるかが問われる
- 特に新NISA制度は長期投資のプロから見ると大きな問題をはらむ
国を挙げての「貯蓄から投資へ」の大合唱から、首相の唱える資産運用立国ときて、いよいよ来年からは新NISA制度が始まる。いずれも、その方向や良しだが、どこまで国民の資産形成につながるかが問われよう。とりわけ、新NISAは大きな問題をはらんでいる。(さわかみホールディングス社長=澤上 篤人)

先ずは、タイミングが悪すぎる。40年越しの世界的な金融緩和に乗って、世界の株式市場も債券市場もずっと右肩上がりで上昇を続けてきた。
とりわけ、15年前のリーマンショックからは金融緩和バブルが一気に加速した。空前のカネ余り上昇相場が続いてきたわけだが、いよいよ破裂を迎えようとしている。
つまり、いまや金融マーケット全般が大崩れに入っていこうとしているのだ。こんなところで官民あげて投資をはじめようと促すなんて最悪である。株式投資でいえば、わざわざ高値づかみをしにいくようなものだ。
もっとも、国や金融界などからすると、この15年間の右肩上がりの株価を盾にすれば、株式投資をしましょうと働きかけやすい。
株式投資を勧める投資家の方も、株価がずっと上昇してきているのをみて、自分もやってみようかという気にもなる。
■「高値で株買いは考えられない」