記事のポイント
- 屋外の大気汚染が原因の死亡者数は世界で800万人を超える
- 英医学専門誌は、その6割の発生源は化石燃料だとの研究内容を掲載した
- 「化石燃料の段階的廃止は何百万人の命を救う」とCOP28に期待を寄せる
屋外の大気汚染による死亡者数は2019年に830万人となった。英医学専門誌のBMJ誌は11月29日、そのうちの61%に相当する510万人が、化石燃料を発生源とする大気汚染で亡くなったとの研究内容を掲載した。「化石燃料の段階的廃止は何百万人もの命を救う」と、COP28での合意に期待を寄せる。(オルタナ編集部・北村佳代子)

化石燃料をクリーンな再生可能エネルギー源に切り替えることは、地球温暖化の抑止だけでなく、大気汚染による死亡者の減少にも寄与することは、以前からさまざまな研究が示してきた。しかしこれまでのところ、化石燃料に起因した死亡者の比率などの推定値には大きなばらつきがあった。
BMJ誌は、産業、発電、輸送での化石燃料の使用がもたらす大気汚染により、世界全体で年間510万人の「回避可能な死亡」を引き起こしているとする、新たなモデリング研究結果を掲載した。
この値は、これまで報告されたどの報告よりも大きい。
「我々の研究結果は、グローバルでの化石燃料の段階的廃止が、これまでの研究で示されていたよりもはるかに大きな健康上の利益をもたらすことを示唆する」と、世界的な研究者チームのコメントを紹介した。
■国際研究チームが用いた新たな評価モデルとは
■クリーンエネルギーへの移行は「公衆衛生と気候変動に多大なベネフィット」