準備が整った「インパクト投資」、次のステージは

記事のポイント


  1. 2023年は社会変革に向けた「インパクト投資」の「準備が整った年」だ
  2. 今後日本は本格的に課題「解決」先進国に舵を切る
  3. 2008年からこの領域で活動する識者が2024年の展望を語った

筆者は2008年から本格的に「社会のお金の流れを変える」取り組みをはじめ、寄付や社会的投資(インパクト投資)の推進に携わってきた。2023年の今、感じることは、「ついに準備が整った」という感覚だ。日本社会は本格的に課題「解決」先進国に向かい、新しい資本主義社会のモデルを生み出すスタートラインに立っている。(日本ファンドレイジング協会代表理事=鵜尾 雅隆)

私がそう感じるのは、第一に必要な社会インフラが整ってきていること、第二に社会の空気の明確な変容、第三に行政、経済界、大学など既存の主要組織の戦略的進化が起こっていることにある。

この10年で遺贈寄付や富裕層向けの寄付の成長を支える仕組みが相次ぎ生まれた。インパクト投資推進のネットワーク組織やインパクト志向金融宣言に署名する金融機関が60機関以上になった。インパクト評価・マネジメントのプラットフォームが生まれ、休眠預金の支援先団体は1千を超えた。

資金循環の専門家であるファンドレイザーも1600人を超え、10年越しの試行錯誤を経て革新的な寄付教育のゲーム「fromME」も生まれた。岸田政権では「新しい資本主義実現会議」が生まれ、「新たな資本市場はリスク、リターン、インパクトの3軸が評価軸になる」とグランドデザインを描いた。

経済同友会でも共助資本主義委員会が立ち上がり、日本企業が再生し発展するためにも社会課題解決により乗り出していこうと議論されている。

「つなぎ役」が新たな産業を生む

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鵜尾 雅隆(日本ファンドレイジング協会代表理事)

連載:社会イノベーションとお金の新しい関係 日本ファンドレイジング協会代表理事。国際協力機構、外務省、米国NPOを経て、ファンドレイジング戦略コンサルティング会社ファンドレックス創業。寄付、社会的投資の進む社会を目指して日本ファンドレイジング協会を創設。著書に『ファンドレイジングが社会を変える』など。

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