記事のポイント
- サステナビリティと品質の関係性は、商品PRにおいても重要な論点だ
- 一般的には背景課題である貧困などを訴求する商品が多い
- だが、原料品質の高さを訴求する方が、消費者は魅力的に感じる
2023年9月、国内初となるフェアトレード認証に特化したコーヒーの品評会が都内で開催された。日本スペシャルティコーヒー協会とフェアトレード・ラベル・ジャパンの共催で行われた同品評会は、近年世界10カ国以上で毎年開催されるフェアトレード認証コーヒー品評会「ゴールデンカップ」との連動企画だ。(認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパン事務局長=潮崎 真惟子)

フェアトレードは直近10年ほどでコーヒーの品質向上に注力してきた。2014年から生産者の認証基準を改訂し、特にコーヒーにおいては、生産者組合に支払われるフェアトレード・プレミアムのうち25%は品質向上への投資に使うことを義務付けた。
プレミアムの使途は生産者組合が自由に決められることがフェアトレードの大原則だ。それでもプレミアムの使途を一部指定した理由は、特にコーヒーは原料の品質が最終商品の味に直結し、中期的に農家の収入向上のためにも品質が重要であるためだ。
フェアトレード・中南米のコマーシャルマネージャーのパウロ・フェレイラ氏は、「プレミアムの使途の基準ができたことで、この10年間でコーヒー生産者の品質改善への意識が急速に高まってきた。
プレミアムを活用した農業指導などによって、着実に農業が進化している」と言い切る。
9月の品評会には、スペシャルティコーヒーの第一人者である丸山珈琲(長野県軽井沢町)の丸山健太郎社長が出席し、「以前はフェアトレードやオーガニックのコーヒーには高品質なものが少なかったが、今は品質が大きく変わってきた。今日ここにあるすべてのコーヒーがフェアトレード認証だとは驚くべきことだ」と述べた。
■サステナ商品のPRも品質がカギ