記事のポイント
- コーヒーもチョコもバナナも手軽な価格で購入できなくなるかもしれない
- 気候変動が主な要因で、異常気象や病害によって品質や生産量が低下する
- 生産者が貧困から抜け出せず、担い手が育たたない
コーヒーもチョコもバナナも2050年には今のように手軽な価格で購入できなくなるかもしれない。主な理由は気候変動だ。異常気象や病害によって品質や生産量が低下し、生産者が貧困状態から抜け出せない。(オルタナ副編集長=池田 真隆)
コーヒーの2050年問題がある。気候変動によって、コーヒー豆(アラビカ種)の栽培地が2050年には現在の50%まで減少する問題だ。国際的な調査機関ワールド・コーヒー・リサーチは、世界のコーヒー消費量は右肩上がりだが、十分にコーヒーが供給されないリスクがあると警鐘を鳴らす。
農家の貧困も課題だ。10大コーヒー生産国のうち、8カ国(コロンビア、インドネシア、ホンジュラス、エチオピア、インド、ペルー、ウガンダ、グアテマラ)でコーヒー農家の平均収入が貧困ライン(1日1.9米ドル)以下だ。
認定NPO法人フェアトレード・ラベル・ジャパンの潮崎真惟子事務局長は、「農家にとっては魅力的でない職業になり、生産者の担い手が減ってしまう。ブラジルでは、すでに気候変動の影響でコーヒー豆の収穫量が40%減った農家もいる」と話す。
実は、2050年に危機を迎えるものはコーヒーだけではない。潮崎事務局長は、「バナナもチョコも食べられなくなるかもしれない」と指摘した。
バナナはパナマを中心に広まった「パナマ病」の脅威が広がる。パナマ病の病原菌はカビの一種である「フザリウム菌」だ。このパナマ病が気候変動の影響でベトナムやフィリピン、中南米で流行しており、バナナの木を枯らしている。「2050年には絶滅してしまうかもしれない」(潮崎事務局長)。
チョコレートについては原料であるカカオの危機がある。カカオ大国である西アフリカでの収穫量が大幅に減っている。気候変動だけでなく、違法な金採掘の横行などが原因で、カカオの木を枯らす病気が急速に蔓延する。
カカオ豆の先物価格は今年1月から3月までで約2倍に上昇したが、農家の大半が貧困状態から抜け出せない。人権侵害も横行している。
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