雑誌オルタナ75号(2023年12月20日発行)の「フェアトレードトピックス」を紹介します。
■数値目標掲げるイオントップバリュが大賞に
フェアトレード・ラベル・ジャパンは10月、国内のフェアトレード推進活動で優れた功績のあった企業・団体を表彰する「フェアトレード・ジャパン アワード」を開いた。大賞は、国内で唯一フェアトレード調達の中期的拡大の数値目標を発表しているイオントップバリュが輝いた。

フェアトレード・セールス部門(フェアトレード販売国内トップの表彰)では小川珈琲やワタルなどのコーヒー事業者を表彰した。日本生活協同組合などPB販売の多い小売関連企業、国内で唯一スパイスメーカーとしてフェアトレードに取り組むエスビー食品らも表彰した。
オフィスでのフェアトレード消費のパイオニアである大日本印刷、フェアトレードコットンのノベルティを急速に広めたトレードワークスなども市場を変革する取り組みとして表彰した
フェアトレード業界における初の表彰制度だ。業界を超えて好事例を共有し企業・団体のさらなるフェアトレードの推進が期待される。
■米のラベル認知4年で2倍に
米国でのフェアトレード認証ラベルの認知度が2023年に消費者の61%に上り、2019年から4年で2倍以上(+118%)に伸びたことが分かった。グローブ・スキャンの調査によると、消費者の72%がフェアトレード認証ラベルを信頼し、ラベルがブランドの印象に好影響を与えると答えた割合は85%に上った。
認知者の91%が認証商品を定期的または時折購入すると回答した。年代別では25-34歳層が認証商品を定期的または時折購入する人の割合が最も多く、97%に上った。認知者の80%が、より高い価格であっても公正な取引がされた商品を購入すると答えた。
フェアトレードに積極的な大手小売アルディの担当者は、「本データは顧客が農家や社会、環境に良い高品質な商品を求めているという私たちの認識を改めて裏付けた」と話した。
欧州と比較し、フェアトレードが出遅れていた米国だが、近年で大きく市場が変化している。日本にとっても、短期的に大きく市場を変えうるという希望的な示唆となった。
■小中高向け認定制度、日本でも
自治体と市民が一体となって地域でフェアトレードを推進するフェアトレードタウンの数は欧州を中心に2237都市に上る(9月開催のフェアトレードタウン国際会議発表)。学生主導で活動する「フェアトレード大学」は世界で302校まで増えた。タウンも大学も、フェアトレード商品販売店舗数や首長の支持表明などの基準を満たす場合に認定を受ける。
2022年から日本に新たに導入されたのは、小中高校の取り組みを認定する「フェアトレードスクール制度」だ。世界には1879校のフェアトレードスクールが存在し、多くの子どもが教育の中でフェアトレードを学ぶだけではなく、社会を変えるために自ら行動を起こしている。
日本財団の調査(2019年)によると、「自分で国や社会を変えられる」と思う若者の割合は、インドが83.4%、米国が65.7%などである中で、日本だけが圧倒的に低く18.3%だった。
子どもや市民が、自らの力を信じて社会を見据える意識醸成が必要な今、フェアトレードスクールを1つの機会として是非活用してほしい。