■今さら聞けない重要単語「フェアトレード」
グローバル貿易の仕組みは、弱い立場の開発途上国の人々にとって、時に「アンフェア」で貧困を拡大させるものだという問題意識から、南北の経済格差を解消する運動として始まったのが、フェアトレード(公正貿易・公平貿易)です。
手工芸品から始まったフェアトレード運動は、1970─80 年代になると、農産物であるコーヒー豆も、フェアトレード商品として取り扱われるようになりました。それ以降、カカオ、砂糖、バナナなどの一次産品にも対象が広がりました。背景には、開発途上国の生産者を苦しめる農産物価格の下落がありました。
「援助ではなく貿易を(Trade not Aid)」は、1968年、国際連合貿易開発(UNCTAD)で開発途上国側から提案されたスローガンです。開発途上国の貧困や先進国との経済格差は、そもそも貿易のアンバランスによって引き起こされているのであって、援助では解決できない、というフェアトレードにも通じる考え方です。
2001年、世界の主要なフェアトレードネットワーク組織が共同でフェアトレードの定義を次のように定めました。
「フェアトレードは、対話、透明性、敬意を基盤とし、より公平な条件下で国際貿易を行うことを目指す貿易パートナーシップである。特に『南』の弱い立場にある生産者や労働者に対し、より良い貿易条件を提供し、可能な発展に 貢献する」
現在では、この定義が世界的に最も認知されています。
フェアトレードにより、生産者は自らの力で貧困から脱却し、女性や子どもの権利を守り育て、より良い未来の実現を目指します。
最近では、フェアトレード商品を専門に扱う店だけでなく、イオンが自社ブランドのチョコレートに使用するカカオをフェアトレード認証を得たものにするなど、購入できる場所も増えています。
世界のフェアトレード認証製品の推定市場規模は約1兆2776円(2018年)、日本は同131億円(2020年)に上ります。
※『CSR検定3級テキスト(2022年版)』の第4章5「フェアトレード」から一部引用しています。