記事のポイント
- 国際環境NGOが「プラスチック廃棄物管理に関するフレームワーク」を公表
- 192の国を廃棄管理やリサイクルインフラの成熟度によって6段階に分けた
- 日本には、使い捨てプラ使用を減らすための「罰金制度」の導入を提案した
廃棄プラスチック問題の解決に取り組む国際同盟AEPW(Alliance to End Plastic Waste、本部シンガポール)はこのほど、「プラスチック廃棄物管理に関するフレームワーク」を公表した。192の国をプラスチックの廃棄管理やリサイクルインフラの成熟度によって6段階に分けた。日本は、上から2番目のカテゴリーだった。(オルタナ編集部・下村つぐみ)

AEPWは、各国政府やNGOと協力して、廃棄プラスチックの撲滅に向けたプロジェクトを進める国際団体だ。2019年に発足し、プラスチックのバリューチェーンに携わる企業や70以上の組織が参加する。
フレームワークは、AEPWとドイツのコンサル企業ローランド・ベルガーが協力して策定した。各国に廃棄物管理の体制を見直すきっかけを与え、リサイクル率を向上させる狙いだ。
現状の把握として、廃棄物管理やリサイクルインフラ、法整備などをもとに、192の国を6つのカテゴリーに分類した。各カテゴリーは以下の通り。
▸カテゴリー1: 未成熟段階のシステム(プラスチックリサイクル率が5%以下の国)
▸カテゴリー2: 初期段階のシステム(プラスチックリサイクル率が10%以下の国)
▸カテゴリー3: 発展途上段階のシステム(新たな政策を実施しなければ、プラスチックリサイクル率が15%を超えない国)
▸カテゴリー4: 機能的だが大半が未規制のシステム(規制によりプラスチックリサイクル率が25%に近づきつつある国)
▸カテゴリー5: 先進的だが課題のあるシステム(40%以下のプラスチックリサイクル率を達成できる国)
▸カテゴリー6: 成熟して機能しているシステム(プラスチックリサイクル率が40%を超える国)
調査の結果、世界の60%は廃棄物管理体制が未熟または初期段階にあり、プラスチックのリサイクル率は8%未満であったことが分かった。このような国では、廃棄物の最終処分場などで有価物を収集するウェスト・ピッカー(ごみ拾い人)を公認し、国の廃棄物管理体制に組み込むことが有効とされた。
カテゴリー5とカテゴリー6に分類されたのはわずか35カ国で、日本は、イタリアやフランスとともにカテゴリー5に分類された。カテゴリー6はベルギー、韓国、ノルウェー、ドイツ、オランダだった。
同団体は、日本に対し、「生産者への責任をより高める」、「デポジット返却を飲料容器に導入する」、「使い捨てプラスチックの使用を減らすため罰金を導入する」などの政策提案を行った。
穴田武秀AEPW日本・韓国統括は、「日本がより循環型社会の構築を進めるためには、既存の拡大生産者責任(EPR)の発展、革新的な技術への投資が効果的だ」と指摘した。
「自国のプラスチックリサイクル率の向上だけでなく、他国の廃棄物管理システム改善に向けた支援も期待したい」とも話した。