記事のポイント
- ドイツは2023年、GHG排出量を過去70年で最低レベルに抑えた
- 再生可能エネルギーの生産拡大と石炭使用の大幅な減少が要因だ
- 総電力消費量に占める再生可能エネルギーの比率は52%と過去最高になった
ドイツは2023年、温室効果ガス(GHG)排出量を1950年代以来最低の水準に抑えた。再生可能エネルギーの拡大と石炭使用を大幅に減少したことが要因だ。同国は2023年、最後の原子力発電の運転を終了し、脱原発を完了した。同国の総電力消費量に占める再エネ比率は、前年比5ポイント増加の52%で、通年で初めて50%台を超えた。(オルタナ副編集長=北村佳代子)

独シンクタンク、アゴラ・エネルギーウェンデが1月4日に公表した調査結果によると、ドイツの2023年のGHG排出量は前年より7300万トン減少し、6億7300万トンとなった。この水準は1950年代以来最低だという。
排出量の減少の一つの要因は、再生可能エネルギーの生産の増加だ。風力や太陽光などの再生可能エネルギーによる発電量は前年から5ポイント増加の52%となり、通年で初めて50%の大台を超えた。
もうひとつの要因は、石炭火力による発電が1960年代以来の低水準となったことだ。アゴラ・エネルギーウェンデの推定によると、石炭使用の削減によってGHG排出量が4600万トン減少した。
ドイツは欧州最大の経済大国であり、最大のGHG排出国でもある。EUの統計局ユーロスタットによれば、同国のエネルギー関連排出量はEU全体の約4分の1を占める。
ドイツは2045年のカーボンニュートラル目標を掲げ、2038年までの脱石炭を目指している。ロベルト・ハーベック経済・気候保護相は脱石炭目標を2030年までに実現したい考えだが、同国西部の州から支持される一方、東部の褐炭地帯が抵抗を示している。
ドイツは2023年4月、最後の原子力発電所の運転が終了し、脱原発も完了している。