「サステナブルだから」だけでは売れないZ世代の消費行動

記事のポイント


  1. Z世代は「SDGsネイティブ」と呼ばれ環境意識が高いとされる
  2. モノの購買において、環境に配慮された商品を選ぶと思われがちだ
  3. だからと言って、「サステナブル」だけでは売れない難しさもある

1990年中期から2000年代終盤に生まれた世代であるZ世代は「SDGsネイティブ」と呼ばれ環境意識が高いとされる。モノの購買においても、環境に配慮された商品を選ぶと思われがちだ。だが、実際のところは、モノを選ぶ基準は、SDGsだけが理由ではないことがさまざまな調査から明らかになってきた。(伊藤恵=サステナビリティ・プランナー)

■理想は「結果的にサステナブル」

Z世代のSDGsと消費に関する意識調査(※1)によると、Z世代の7割以上が環境にやさしい取り組みを実施した経験があると回答した。さらにSDGsに配慮した商品を5割が購入していた。(※1「Z世代のSDGsと消費に関する意識調査」SHIBUYA109 lab. 2022年)

しかし、サステナブルなことだけが購買動機になるとは限らない。購入理由の上位は、「地球や社会に良いことをしたいから(45.5%)」「節約になるから(32.0%)」「似た商品で迷ったので、少しでも地域や社会に良い方がいいと思ったから(28.5%)」となっていた。

積極的にSDGs関連の商品を選ぶのはもちろんだが、購入時に迷った際に、「どうせ選ぶならサステナブルなものにしよう」くらいの感覚であることがうかがえる。

価格やデザインなどの条件はクリアしていることが前提になってくるので、サステナブルなことだけでは購買には結びつきにくい。自分が好んで選んだものが、「結果的にサステナブルだった」というのが理想のカタチのようだ。

情報感度の高いZ世代には諸刃の剣にも?

Z世代の中でも特にSDGsへの関心が高く、周囲にも進んで推奨する層は、日常的に情報収集も積極的に行う。製品を購入するか判断する際、「使用する材料・原料」や「製造するプロセス」「調達するプロセス・調達先」といったサプライチェーン全体の取り組みまで調べている割合が高いという調査データもある。(「日本SDGs関連消費に関するZ世代消費者意識調査2023」(ベイン・アンド・カンパニー 2023))

不完全な情報や一貫性を欠いた取り組みは「ウォッシュ」と捉えられる可能性もあるだろう。拡散力の高いZ世代のSDGs関心層は良い取り組みも悪い取り組みも、すぐ周囲に伝えていく。情報開示は企業ブランディングに大いに寄与できる半面、ネット炎上などのリスクも隣り合わせにあるといえる。

時代とともに変わる消費の基準

高度成長期からバブル期にかけては盛んだった消費行動は、「モノ消費」だ。「三種の神器」と呼ばれていたテレビ、クーラー、自家用車から、バブル期にかけてのブランド品など、物質的な豊かさが求められていた。

そこから90年代以降には、体験的価値にお金を払う「コト消費」に関心が移り、いま若い世代を中心に注目が集まっているのは「イミ消費」だ。

これは、商品を消費することによる社会貢献的側面を重視した消費行動を指す。フェアトレードや、エシカルファッション、ふるさと納税などが例として挙げられる。このような消費行動の変化は、SNSで「いいね」をもらいたい承認欲求から、あるべき自分になりたいという自己実現欲求への変化ともいえるだろう。

ファッションなどと同じような感覚でSDGsによる社会貢献で、なりたい自分になっていく。そんな価値観のZ世代に対しては、サステナブルなことだけでなく、デザインなども彼らがもっていたくなるようなものにしていく必要がある。

情報リテラシーの高さゆえ、上辺だけのSDGsはすぐに見抜かれてしまうだろう。サステナブルと高い商品価値の両立が出来ているかどうか。Z世代の消費者はよりシビアな目線でみているといえる。

itomegumi

伊藤 恵(サステナビリティ・プランナー)

東急エージェンシー SDGsプランニング・ユニットPOZI サステナビリティ・プランナー/コピーライター 広告会社で企業のブランディングや広告制作に携わるとともに、サステナビリティ・プランナーとしてSDGsのソリューションを企業に提案。TCC新人賞、ACC賞、日経SDGsアイデアコンペティション supported by Cannes Lionsブロンズ受賞。執筆記事一覧

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キーワード: #Z世代

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