今回の住民投票は、市民が法定数の2倍を超える7183人の署名を集めて条例を直接請求し、3月の市議会で成立。その経緯について女性は「都の道路計画の見直しをめぐり、市民は6年前から都への陳情や意見書の提出、市への請願を重ねてきたが、全く反映されなかった。都は7月にも国に事業認可を行うと見られ、その前に市民の意思を示したいと考えた」と説明する。
住民発意の住民投票は都内初だが、市が条例成立後に提出した改正案が4月に可決されたことにより、投票率が50%未満の場合は開票されない。
「投票率50%という足かせを設けたことで住民参加が歪められている」。女性は市の対応の問題点を指摘する。「ある若者は『計画見直しの必要はない。50%を下回るよう、自分は投票に行かない』と話した。『3千万円の経費をかけて開票されなければ無駄になるから棄権する』という人もいる」(同女性)。
ちなみに同市の小林正則市長が4月の市長選で三選した際の投票率は約37%。今回の住民投票の成立要件より低かったことについて、市長は20日の会見で「人を選ぶ選挙と住民投票は性格が違う」と説明。
また、都の道路計画の実現で自然環境が損なわれるのではとの質問に同市長は「都の公益的な事業に対して私は賛否を言う立場にない」、自身の投票行動については「墓まで持っていくことになろうかと思う」と述べている。(オルタナ編集委員=斉藤円華)