赤十字への安易な寄付でいいのか

どこにどんな寄付をすべきだったのか--。寄付文化が根付かないとされる日本でも、東日本大震災では多くの人が被災地のためにお金を差し出した。ただその行き先のほとんどが日本赤十字社だった。(長光大慈)

「東日本大震災で被災者が一番困っている時に義援金は支払われなかった。せめて義援金の1割でいいからNPOに回せばすぐに役立った」。東日本大震災後の支援についてNPO「市民福祉団体全国協議会」の田中尚輝専務理事はこう指摘する。

800億円が金庫に実際、12月8日時点で、日本赤十字社に寄せられた義援金約3400億円(中央共同募金会の約379億円も含む)のうち、今なお約800億円が金庫に眠っているという。

日赤に寄せられた「義援金」は12月8日時点で3024億円に上る。

企画広報室の畑厚彦広報主幹は「予想を超えるたくさんのお金が寄せられた。この大金には、間違いなく被災者に届くという信頼が込められている」と公平性の大切さを主張するが、日赤が「被災者への支給が遅すぎる」と大きな批判を浴びたのも事実だ。

だが、日赤にも言い分はあるようだ。義援金はそもそも、各県が地域防災計画に基づいて募るもので、日赤はあくまで「受付機関」にすぎない。「義援金は地方公共団体への寄付と同じ。日赤は預かっているだけ」(日赤企画広報室)というのが実態だ。

義援金は日赤から各県の「義援金配分委員会」、市町村を経由し、被災者に届けられる。しかしこの震災では行政も被災したことで配分委員会の立ち上がりも、市町村の義援金受け付けも遅れた。

さらに足かせとなったのが、申し込みに必要な「罹災証明」の発行遅延だ。このため、義援金が被災者に渡り始めたのは5月以降にずれ込んだ。

ただ、一部メディアが報じているような「義援金から手数料を差し引く行為」を日赤はしていないようだ。

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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