日本語でいう「統合報告」は報告書という「書物」を最終的なアウトプットとして目標にしていると読み取られてしまいます。それに対して<IR>は、報告書を作るという行為(レポーティング)を包括的な考えをもって臨むことを目標としています。
突き詰めると、<IR> frameworkの中でもIntegrated report(報告書)なるものが企業の価値を包括的に考えた末の成果物として具現化されることが支持されている一方、必ずしも一つの企業報告書というものを作らなくてもよいということなのです。この点はIIRCの試験利用プログラム(Pilot Programme)にも明記されています。
実際に<IR> frameworkを使ってどう思考プロセスを組み立てればよいのでしょうか。ここからはIIRCのCEO ポール・ドラックマン(Paul Druckman)氏と筆者の対話内容から読み解いていきましょう。