CSR: 統合報告とは年次報告書とCSRレポートの合冊ではない

2008年のリーマンショックで短期的な高利率を追うことだけの投資を再考するきっかけとなりました。2010年のBPのメキシコ湾原油流出事故は、外部的なリスク要因が株価にも直結するという事例を如実に示しました。

そして2013年のバングラデッシュの繊維工場ビル崩壊事故で、労働条件に関わる企業の経営改善への施策づくりを求める外圧が一気に高まりました。長期的な視点に立って、責任ある投資をすることの重要性が今、改めて見直されてきているのです。

6月に―週間の日本滞在で多くの日本企業と接したドラックマン氏に<IR>の視点から見た日本企業の印象を尋ねたところ、彼はこう返答しました。

「日本は企業の理念が社会への価値を生み出すことと掲げているところも多く、長期的な視点で経営を考える文化がある。<IR>の草案を作り、様々な国で試験利用を推進してきたが、日本が一番多く、良い例を見つけられると感じた」

こういった高い評価を得られたことは、日本の企業にとって投資家にアピールできるチャンスと強みなのです。

企業の存在意義を包括的に捉え直す。そこから企業の社会的価値を見出す。長期的な経営の視点からこの価値を戦略的に強化する。そして情報発信する。これがIntegrated Reportingに託された理念なのです。そして今、企業の長期的な経営戦略と社会的価値を融合することが、世界の潮流になってきています。

 

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オルタナ編集部

サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」は2007年創刊。重点取材分野は、環境/CSR/サステナビリティ自然エネルギー/第一次産業/ソーシャルイノベーション/エシカル消費などです。サステナ経営検定やサステナビリティ部員塾も主宰しています。

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