記事のポイント
- 温度の上昇は大気だけでなく、海でも起こっている
- 「レッドリスト」は、気候変動が多くの魚に影響を与え始めていることを指摘
- その代表格が、「アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)」だ
人類が引き起こす地球温暖化は「地球沸騰時代」とまで言われまでに深刻化した。温度の上昇は大気だけでなく、海でも起こっている。
海水温度の上昇によって、魚の分布域が高緯度にシフトし、獲れる魚の種類が変わってきていることは日本を含めてさまざまな場所で指摘されている。だが、最近の評価では種の存続自体が危ぶまれる可能性まで指摘されるようになってきた。
国際自然保護連合(IUCN)が2023年12月に発表した絶滅危惧種のリスト「レッドリスト」の最新の改訂版では、気候変動が多くの魚に影響を与え始めていることが指摘された。
その代表格が、北部大西洋を中心に分布する「アトランティックサーモン(タイセイヨウサケ)」だ。日本ではノルウェーから輸入されたタイセイヨウサケが「サーモン」の名で広く流通し、回転寿司などでは人気の食材だ。
だが、輸入品の多くは養殖物で、野生のアトランティックサーモンの個体数はここ長期的な減少傾向にあることが分かってきた。
(この続きは)
■サーモンは軽度懸念から準絶滅危惧に移行
■人工繁殖の急拡大が野生種にも影響
■資源状態のモニタリングや予想原則に基づく資源管理を